*-＊契約結婚・3＊-*

こうなる前に気づくべきだった＊YS＊ ページ32

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-YS side-




Aの向かいそうな場所。


混乱した頭で考えてみる



施設、ご両親の墓…………



訪ねてみても

「ここには来ていない」の一言に
行く宛てもなく、ふとリョウガが頭を過った



まさか………………



YS「店長は？」


苛立ちを隠すかのように
そう一言だけ伝える電話



「店長なら、コンクールに出場するために出発しましたが…………」




そうだった………………



じゃあ、あのトレーニングルーム？



…………向かったが真っ暗で人がいる気配もない




YS「A…………どこだ…………」



身寄りのいないAの行き先なんて
あるはずがない



どうしてもっと彼女と心を
通わさなかったんだろう



悶々とした気持ちの中
会長宅に向かう。



俺の姿を見ると

「ジョンウン、いいところに来た。
ここに座りなさい。」



目の前にはあの時紹介された彼女と父親が座っていた



「今、正式に婚約の日取りを交わしたから
そのつもりでいなさい。

それから
お嬢さんをお前の家に案内するように。


これから一緒に住むなら
早く準備をした方がいいだろう。」



正式に決まった婚約
会長には怖いものなんてない
頂点を目指す会長のための結婚話



内線をかけ、キムさんを呼んだのか
一瞬、俺と目が合うと気まずそうな表情をした。



「これから奥様にお仕えさせて頂くキムと申します。
何なりとお申し付け下さい。」



奥様呼び

A以外を呼ぶなんて……………




キムさんと彼女が部屋を出てから
弁護士にそっと近づき


YS「見損ないましたよ。あなたを」


札束の入った封筒を
ギュっと握らせた。



ガチャ


自宅のドアを開けると

「お先にお邪魔しています」

と、玄関先に走ってくる彼女の表情は
まるでおままごとをしている子どもみたいで


YS「キムさんからいろいろ聞いて下さい。」


彼女の横を通りすぎようとすると


「あの………私……………

形だけでも構いません。


前の結婚相手の方が気になるのなら
それでもいいです。



父に言われました。



仕事と女性関係には口を出すな。と


例え他に女性がいても支えるのが妻の役目だと。


だから一生懸命
ジョンウンさんの妻として頑張ります。」


その隣でキムさんが悲しそうに
俺の顔を見ていた


YS「キムさんは俺にとっても母親代わりだから
いろいろ頼って下さい。
仕事に戻ります。」




俺は逃げるように車に乗り込んだ。



A以外の女と暮らせるだろうか…………

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