*-＊契約結婚・3＊-*

泡のように消えた君＊YS＊ ページ31

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-YS side-



仕事の合間に寄ったカフェ。


メニューが豊富で目を奪われるが
いつものブラックを注文する。


ふとレジ横のカウンターに飾ってあった白いうさぎのボールペン


「Aが好きそうだな………」


YS「これ、プレゼントにしてくれる？」

思わず買ってしまった。



ここから病院までそう遠くない。


今から届けに行こうか？
うまくいけば次の週末は外泊できるかもしれない。



Aに会いに行こう。


コーヒーを一口飲んで
車を走らせた。


エレベーターを降りてAの部屋に向かう。



コンコン。

ノックをしても返事がない。



リハビリか？シャワーか？

いろいろ頭の中を過るがドアに手を掛けた


ゆっくり扉が開くと



YS「冗談だろ……………？」


Aがいつも寝ていたベットには誰もいない

病院着がキレイに畳まれていて
ふと手に取ると
俺のシャツの畳み方と一緒だった


窓際に残された胡蝶蘭。


イヤな予感がしてナースコールを連打した



「どうされましたか？」


駆け付けた看護師が俺の顔を見て気まずそうな表情をした。


YS「説明して。
Aはどこに？
病室が変わったの？
それとも………外泊？」


「えっ、あの………………」


YS「あんたじゃ話になんないわ。
いつもの担当か師長を呼んでくれ。」


「はい……………」


バタバタと走る音がして
入れ替えに来たのは師長だった


YS「Aは？」


俺の言葉に動揺することもなく


「退院されましたよ。
引き留めたのに、今すぐ退院したいと。
まだしっかり歩けるわけじゃないのに………」


YS「なんで！？」


「それは…………こちらの台詞ですよ。
こんな大金を持ってきてお釣りはいらない。
だから退院させてほしい。なんて非常識です。」


師長が差し出したのは分厚い封筒。


中を見ると新札の札束が入っていて


「とてもじゃありませんが受け取れません。
彼女も知っていますよ。
だから心苦しくて退院したんです。」


YS「誰がこの金を………？」


「弁護士………とか名乗ってましたけど。」



俺の怒りと苛立ちが溢れ返って
そこにあった枕を投げつけ
Aの病院着を握りしめた


窓際の不釣り合いな胡蝶蘭を投げ捨てると
床に無惨に飛び散る土


「落ち着いて下さいっ！！」

俺を制止しようとする師長の手を振り払い
ベットを乱暴に叩き続けた





悔しさと腹立たしさと悲しさと
いろんな感情に勝手に壊れてただ声を荒らげるしかできなかった

こうなる前に気づくべきだった＊YS＊→←サヨナラ……初めての恋心

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