*-＊契約結婚・3＊-*

息子としてのワガママ＊YS＊ ページ26

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-YS side-



本宅を訪れるのは毎回緊張する


一番奥の重い扉＿＿＿＿＿



ギーッと。


重低音を響かせると



「お〜、ジョンウン。
どうした？珍しいな。」


陽気な会長の横には資料をたくさん持った弁護士が立っていた。



この２人が揃っているということ…………



イヤな予感が巡るけど
気にせず用件だけを伝えようと
ソファーに近づいた。


YS「会長、、、いやっ、お父さん

今日はただの息子として来ました。」



「何だ？改まって(笑)……お金が必要か？」



YS「違います。」



「じゃあ、何だ？」



俺は大きく深呼吸して


YS「契約結婚のことです。」


真っ直ぐ父親の顔を見て話した。



「丁度いい。
私もその話をしたかったんだ。
まぁ、座りなさい。」



内線に電話をかけコーヒーを持ってくるように頼む間も、何から話そうか計画をしっかり練った。




「この間のお嬢さんが、お前としっかり話をしてお前の誠実さに心が惹かれたと。

だから、このまま話を進めてほしいと言われたから彼女を正式に婚約者として迎えるぞ。


先方の会長も大喜びだ。

会社の方は早めに引き渡すようにしなさい。

近々、社長の就任会見を開く。」



YS「待って下さいっ！！」



突然立ち上がった勢いでテーブルの上のコーヒーカップがカタカタと音を鳴らして揺れる。


立ち上がった俺は会長の足元に歩み寄り
土下座をした



YS「お父さん………………


息子の最初で最後のワガママを聞いて下さい。



結婚はします。

望むなら子どもも努力します。

仕事も精一杯頑張ります。



でも………………


Aの………………


記憶がしっかり戻るまで……………


待ってもらえませんか？



最後の最後まで
ツラい記憶しか残せないなんて…………



初めて人を傷つける怖さを初めて知りました。


生きているだけでよかったなんて

もう大切な人を失いたくありません。



母親のこと…………悲しい記憶しか残っていないんです。


だからAとは………

笑って………別れたいんです。」


絨毯に広がる涙の雫


怖くて頭を上げられない俺


頭上から降ってきたのは


「てっきりお兄さんとやらの所に行ったと思ったが………検討違いか？
手切れ金のムダだったな。なぁ？」


「申し訳ありません。私の力不足です。」


「まぁ、もう済んだことだ。

で、いつまで待たせる気だ？

いつ記憶が戻るんだ？

お前は努力しているのか？」



容赦ない言葉に心が折れた………

切ない涙→←置いていかないで……

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