*-＊契約結婚＊-*

魔法の絆創膏 ページ18

・

ゆっくり回る観覧車のライトをぼんやり見ながら
歩き疲れた足をほおり投げ、小さな溜め息を溢す



今日はどこに泊まろうかな……
疲れた………私、疲れちゃったよ。


空には小さな星が輝いていて
ベンチに無造作に置いた携帯を握りしめ

「喉、渇いちゃったな。」

自販機に向かおうと振り向いた私の目に映ったのは

……………………………。


＿＿＿＿＿リョウクさん？



私の目の前には、息を切らしたリョウクさんが立っていた


RW「Aちゃん、お待たせ〜。はいっ、ミルフィーユとコーヒー。あっ、ガムシロとミルクはいる？」

何で目の前にリョウクさんがいるのか？
頭の中が混乱していて言葉がでない。


RW「うわっ、やっぱり皮がしっとりしちゃったぁ。ホントはサクサクのを食べて欲しかったのに〜」

指でツンツン触ってパイ生地を確認するリョウクさん

「あの………ありがとう……ございます。」

頭を下げた私に

RW「ねーねー。ほらっ、食べてみて？」

差し出されたミルフィーユを口に運ぶ


ボロボロ粉がこぼれて、慌てて払うと

RW「誰も見てないから、豪快に食べなよ(笑)」



僕も。と言いながら私の隣に座って大きな口で頬張るリョウクさん。



パラパラと

お互いの服には粉が散っていた


「くくく(笑)たまには、いいね。子どもに戻ったみたいでさ。」


ゴクゴクと。
コーヒーを飲み干す喉元がやけに男らしくて
恥ずかしさのあまり、顔が赤くなるのがわかる。

誤魔化すかのように、私も勢いよく飲み干した


RW「そうだっ！Aちゃん？
携帯の電源切ったでしょ？何回掛けても同じアナウンスが流れて、機械音にケンカ売っちゃったよ(笑)


で、


今日は………家出ごっこだったりするの？」


リョウクさんは、私の横にあったキャリーケースに目をやった。

「ごっこじゃありません……もう終わりにします。
こんな馬鹿げたこと………イェソンさんにも失礼ですから。」


RW「ヒョンは知ってるの？」

首を横に振る私を困ったように見つめて

RW「じゃあ、夜遊びしよっか。
ヒョンを困らせよ！捜索願いが出ない程度に(笑)」

ベンチから立ち上がると、ヒールの足が痛くてうまく歩けない。


RW「どうした？」

私は屈んで足元を見ると
慣れない革靴で靴ずれしていた。


踵から滲んだ血。
水ぶくれになった小指。


RW「痛かったね。とりあえず魔法の絆創膏貼ってあげる！」


リョウクさんが貼ってくれた場所………


そこだけが熱くてドキドキが止まらなかった

私が車に乗れない理由→←契約解消の夜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す