こんな世界でも愛を教えてくれますか4 (ページ25)

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171：黒塊ページ25

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乾パン完成。

そして、

『却下』

失敗。

目の前に差し出された異臭を放つ黒い物体。

アミノカルボニル反応によって炭化したかつて小麦だった物は、目の前の少女にゴミを見るような目で見下されている。

事実、産業廃棄物である。

コハク｢こんなに美味しいのに｣

『食べるな。死ぬぞ。』

千空｢お怒りだな｣

『二日酔いの状態でパンなど焼くから、こんな事態になったんだろう』

龍水｢ハッハー！その通りだ！｣

羽京｢お酒嫌いなんだね｣

目の前の黒い塊を睨み、次に千空に目線を送る。

相手も何を考えているのかわかったのか、琴寧の目を見つめた後、ニヤリと笑って電話のある展望台まで歩いて行った。

羽京｢？｣

龍水｢ふぅん、用があるのは俺を千空に紹介したあの記者だろう！！違うか！？｣

クロム｢そ、そうなのか！？｣

『南は復活者選定役だったからね』

にこにこと何食わぬ顔で焦げたパンを退け、肘を着いて話が終わるのを待つ。

龍水は千空のあとをついて行き、残された3人は琴寧の近くに座り何か企んでいるらしい2人を眺めた。

コハク｢何をしに行ったんだ？｣

『復活液の調達さ。アーク放電なら硝石よりも早く硝酸が作れるのだけど、もっと早い方法を見つけられたようだね。後で南には礼をしなくては。』

羽京｢新しく料理ができる人を復活させるって事だね。誰か知ってるの？｣

『もちろん。私と龍水はよく世話になった。』

羽京｢これはまた高貴な人が増えるね…｣

ズンズンと司の理想世界とは正反対の方向へ突き進んでいく科学王国。

彼が復活した後、頭痛に苛まれなければ良いが。

羽京は眉を下げ笑って相槌を打った。

コハク｢楽しみだ！そいつは今どこにいるんだ？｣

『龍水のいた所だよ。大樹や仁姫が復活させに行ってくれるんだろうね。』

しばらくして、雑談を楽しんでいれば電話を終えたのか千空龍水が帰ってくる。

交渉が上手くいって満足しているのか、琴寧を抱き上げた龍水はおなじみデッキチェアにどっかりと座った。

千空｢拒否できねぇでいるならコハク呼べよ｣

『拒否した方がいいのだろうか』

千空｢コハク｣

龍水から琴寧を取り上げる。

｢わからねぇでされるがままになってんじゃねぇ｣と叱られる琴寧の横、どこか琴寧の向こう側を見つめニヤリと笑う龍水。

その不思議な視線に、羽京は首を傾げた。

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