こんな世界でも愛を教えてくれますか4 (ページ18)

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164：水泳教室ページ18

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羽京｢まずは最初の最初、息継ぎの仕方から｣

薄着の男女が同じ温泉に入るのはいただけないと考えた羽京は、琴寧だけを温泉に入れ上から指導する。

しかしそんな指導でも嬉しいのか、琴寧は真剣に羽京の話を聞いていた。

羽京｢通常、泳ぐ時は息を口から吸って、鼻から吐くんだ。やってみて。｣

『……スー…………』

羽京｢うん、吐く時は見ただけじゃわかんないから水に顔をつけてやろうか｣

『……………ぶく…ぶく…』

羽京｢できてるよ｣

はっきり言って赤ちゃん水泳教室でやるような内容だが、仕方ない。

千空から事前に聞いた情報によると、本当に生まれてこの方泳ぎを教わった事が無いらしい。

そのせいで、

この前氷月に川へ落とされた時も、

きっと怖い思いを

羽京｢次は連続でやってみて｣

『スー…ぶくぶく……スー…ぶくぶく…』

羽京｢泳ぐ時はそれを泳ぎ終わるまでやるからね、慣れておいてね｣

『モゴモゴっ！ぶくぶくぶくっ…』

羽京｢喋る時は顔を水から離そうか｣

顔を上げる。

とても嬉しそうな表情で手を掴まれた。

『そんなにたくさんやるのか！！』

羽京｢う、うん…｣

『体力をつけなくては！！』

さっきよりも勢いよく、バシャリと水面に顔をつけ、息継ぎの練習をする琴寧。

3回目ほどで、勢いをつけすぎて顔を真っ赤にさせているので制止すれば、3秒後、大量の鼻水があろう事かご令嬢様から垂れてきた。

『……うきょう、はなみずが』

羽京｢うわわわわわ｣

急いで服の裾で鼻水を拭う。

彼女は1人で鼻もかめない箱入り娘のようだ。

｢はい、ちーんして、｣というにさえ興味を示し、すぐに鼻をかむ所ではなくなった。

『それも泳ぎの練習か？』

羽京｢1人で鼻をかむ練習だよ｣

『君が手伝ってる時点で1人ではないじゃないか』

羽京｢じゃあやって、ほら｣

服の裾を1人で持たせて、ご令嬢がどうやって鼻をかむか眺める。

すると彼女はしばらく考えたあと、裾に顔全体をつけて、勢いよく鼻から息を吹いた。

羽京｢(鼓膜破れそうな勢いだな…)｣

『頭が痛い……』

そりゃそうだ。と思うと同時、顔を上げた彼女の顔を見ると、

糸を引いた鼻水の粘液と、真っ赤な血が布面に広がっていた。

『……ああ、うきょう、はなぢ…』

羽京｢うわぁぁぁああ！！！｣

水泳教室は中断となった。

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