こんな世界でも愛を教えてくれますか4 (ページ16)

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162：説教ページ16

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羽京｢うん、わかった、わかったから、落ち着いて｣

『ここを使えば水温など気にせず泳ぎの練習ができるじゃないか！羽京、どこを見ているんだ、早速始めよう！！』

羽京｢始められるわけないだろ、服はどこにやったんだ？｣

『私はまだ入浴中だ！』

羽京｢入浴中に男風呂に入って来ちゃダメだろ！｣

マイペースすぎる彼女に息を切らす。

向こうの千空は頭を抱え、龍水はフィンガースナップの格好のまま固まり、コハクはクロムの目を塞ぎ琴寧の裸が見られないよう方向転換をした。

とりあえずコハクが背負っていた籠から、彼女が運ばれてる時下に敷かれていたであろうタオルケットを取り出し体に巻き付ける。

頭をコツンと叩いて叱り、こちらも衣服を着て気を取り直した。

クロム｢前が見えねぇ｣

羽京｢まず、何があったの？｣

コハク｢…いや、体を洗い終わって、少しばかり入って、私はもう十分だから、上がって着替えていたんだ。そしたら琴寧が、湯船に体を預けて、足を浮かせて、次の瞬間、籠から蔓を取り出したんだ。｣

『気付いたんだ。温泉にも、浮力があるって。だから、気付いたからにはすぐに君に知らせないと、帰ってしまうと思ってね』

ああ、だからコハクは服を着ていたのかと、妙に納得するも、何故蔓でここまで来れたのかとか、そもそもお嬢様なのに羞恥心はないのかとか、疑問ばかりが浮かび上がる。

しかし目の前の少女はそれを説明する気など無いのだろう、大人しく毛布に包まれて座っている。

羽京｢帰らないよ…そんな薄情な男に見える？｣

『見えないと言えば嘘になるな。君は私が寒がっているのにそれを放って作業に向かう男だ』

羽京｢石油探しが優先だからね。｣

このお嬢様は、なんでも自分が第一に優先されると思っているらしい。

いや、ゲンの言葉を借りるなら、｢無意識レベルで、そうなるように誘導している｣だったか。

今こうして彼女が自由に行動しているにもかかわらず、なんの作業も滞っていないのは、これら工程の全てが彼女の管理下にあると、考えるのが自然なのか。

龍水｢俺は………見ていない……何も………｣

千空｢あﾞー…コイツが逆上せるから女ども一旦散ってくれねぇか。｣

気付いた頃には湯気の立ち上る温泉に、ぶくぶくと溺れかけた龍水が、虚構を瞳に撮し何かを呟きながら沈んでいっていた。

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