143:ハートのクイーン ページ46
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龍水「なっ…どういうつもりだ!」
『運が悪かったよ』
くじ引きの結果を嬉々として聞きに来た龍水が、その真っ赤なハートのクイーンを見て目を見開く。
イスに座り千空ゲンと話していたのか、もうその話題は過ぎたと言わんばかりの目線を送るものだから、龍水はさらに声を大きくして琴寧に近付いた。
龍水「一緒に石神村に行くと言っただろう!」
『くじ引きはくじ引きだ。もう決定事項だよ。』
龍水「ゲン!もう1枚切符を買い取ろう!」
ゲン「クロムちゃんから買い取れるならいいよ」
龍水「な!?クロム!いつの間に!!」
もうトランプを掴んで離さないというクロムの嬉しそうな表情を見て、龍水は少し意気を削がれる。
あの顔を見て、誰が切符を奪い取ろうと思えるのだ。
視線を移し琴寧の方を見る。
こちらを見上げボヤけた表情をする彼女に近付いて、背もたれに手を付けた。
龍水「悪どいにも程があるぞ、琴寧」
『私は医者だが善人ではないよ』
龍水「善人ではないが、愛のある女だ。」
『………私のこれは愛ではないよ』
龍水「愛だぜ。」
腰を折り顔を近付ける。
首筋に手を沿わせ、顎に到達すれば、自らの唇に引き寄せそっと口付けをした。
千空「っおい」
頬に。
ゲン「びっ………くりした…!?!?!?!」
龍水「フゥン、これぐらい挨拶だぜ。3700年に比べれば束の間の別れだが、俺は寂しいからな。」
目を閉じ、「お前も俺にキスしろ」と言うふうに頬を突き出す。
琴寧はしばらく考えたあと、それを無視して龍水を抱き締め背中をポンポンと叩いた。
『いってらっしゃい、龍水。』
千空にして貰ったように、鼓動と同じリズムで叩く。
琴寧は知らなかった、心地よいリズム。
龍水は目を見開いて、やはり嬉しそうに離れて、いつものように笑いながらどこか行った。
千空「好きにさせすぎだ」
龍水の背中を眺める琴寧の頭をコツンと軽めに叩き、その後に優しく撫でる。
そんな千空の顔を見て、琴寧はまたしばらく考え始めた。
ゲン「……琴寧ちゃんって頭良いけど、意外と長い時間考えるよね」
千空「情報の咀嚼に時間がかかるんだ。こいつの脳みそは土壇場の即興っつーより、入念な前準備に全振りしてるからな。」
他に作業があるのか、それだけ言って、千空はその場を立ち去ってしまった。
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柏餅(プロフ) - 栗子さん» \(//∇//)\ (2月23日 11時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - 柏餅さん» あけましておめでとうございます〜!🐉⛩️🎍ハートのクイーンは今後も重要な要素なので注目されて嬉しいです!!✨今年もよろしくお願いします!!🫶 (1月13日 17時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 夢主ちゃんハートのクイーンが欲しかったのお嬢すぎて好きです!遅れましたが明けましておめでとうございます! (1月9日 13時) (レス) @page50 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - マジで共感の嵐です! (12月7日 17時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - 柏餅さん» Dr.STONEの女の子ってマジでいい女ばっかですよね〜!最新話まで見てくれてありがとうございます!!🥳 (12月4日 23時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗子 | 作成日時:2023年10月3日 22時