121:怠惰な忠犬 ページ24
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千空とカセキが杠と話している間、こっそりとラボに侵入した銀狼。
入口を背にして何やら難しい絵が書かれた用紙を眺める琴寧を見つけ、上機嫌で近付いた。
銀狼「琴寧!」
『銀狼じゃないか、そろそろ来る頃だろうと思ったよ。』
サボっていることがバレないよう、机の影に隠れて膝を着いている姿を見て察した琴寧は、小声で銀狼に返事する。
銀狼は心底嬉しそうに、自身の服から何かを取り出した。
銀狼「あのね、石神村にいる時なんだけど、海辺でサボっ…散歩してたら、琴寧の目の色にそっくりの石見つけたから、持ってきたんだぁ」
『……橄欖石か』
手の平ほどの大きな石を「拗ねちゃうから、金狼にはナイショだよ」と言いながら琴寧の膝に乗せる。
入口から差し込んだ太陽光が反射し、きらきらと輝くその石は、表面中に黄緑色の結晶を付け、ゴツゴツした感触だ。
中でも特に輝きを放つ大きめの結晶を見て、琴寧は銀狼に微笑んだ。
『富士山でできたものが海に流れ着いたんだね。綺麗だよ。君達の瞳の色にもそっくりだ。』
銀狼「え?僕?」
『ああ、君と、金狼。カセキに頼んでこの櫛に付けて貰おうか。素敵なプレゼントだね。』
太陽の石とも呼ばれる橄欖石。
別名ペリドットを日差しに掲げ、光の反射を楽しむ。
贈り物を気に入ってくれたのか、柔らかい笑顔で喜んでくれたのが嬉しくて、
自分が瞳の色にそっくりだと言った石の色を、君の色にもそっくりだと言ってくれたのが、同じだって言われてるみたいで、嬉しくて、
瞳に映る宝石の光が、眩しくて、眩しくて、銀狼は目を細めてその様子を眺める。
きれいだ。
銀狼「え……えへえへ、んふふふふっ」
『ご機嫌だね』
銀狼「えへへ、やっぱり、金狼にも言っていい?」
『拗ねちゃうんだろう?』
銀狼「でも、金狼も同じ色だから」
『なら、教えてあげたいね』
ラボの机に橄欖石を置いて、銀狼に向き直る。
目が合うと、琴寧の瞳の色に顔を引き攣らせ、立ち上がり、たちまちラボから出て行ってしまった。
入れ違いに千空とカセキが戻って来る。
どうやら会話を聞かれていたようだ。
千空「誕生日に自分の虹彩と同じ色の鉱石プレゼントするたァやるじゃねぇか」
『ああ、早朝にいきなり猫じゃらし麺を寄越した君とは大違いだ。』
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柏餅(プロフ) - 栗子さん» \(//∇//)\ (2月23日 11時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - 柏餅さん» あけましておめでとうございます〜!🐉⛩️🎍ハートのクイーンは今後も重要な要素なので注目されて嬉しいです!!✨今年もよろしくお願いします!!🫶 (1月13日 17時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 夢主ちゃんハートのクイーンが欲しかったのお嬢すぎて好きです!遅れましたが明けましておめでとうございます! (1月9日 13時) (レス) @page50 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - マジで共感の嵐です! (12月7日 17時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - 柏餅さん» Dr.STONEの女の子ってマジでいい女ばっかですよね〜!最新話まで見てくれてありがとうございます!!🥳 (12月4日 23時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗子 | 作成日時:2023年10月3日 22時