こんな世界でも愛を教えてくれますか3

117：為替レート ページ20

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龍水｢千空とは、貴様にとってどんな男だ。｣





鳥になって空から地上を見れたら良いと、空を指さしたスイカから何か閃いたのか、大量の麻を求めどこかに行った千空。


ゲンと何やら結託し悪巧みをしている様子を眺め、彼らをよく知るらしい琴寧に問えば、彼女はくつくつと笑いながら、自身を姫抱きする龍水を見上げた。





『大切な友人だよ。一緒にいた時間で言えば君より、誰より長い。』


龍水｢…難儀だな。｣


『ああ、難儀だ。私にとっての一番は彼なのに、彼には大樹がいるから、彼にとっての一番は私では無い。少し寂しいよ。』


龍水｢フゥン、俺が言ったのは、“俺にとって”千空の存在が難儀という話だぜ。相変わらず言語から感情を読み取るのは苦手なようだな。｣





琴寧が口をキュッと噤む。

言の葉を理解したのか何か考えた様子の彼女に、龍水は首を傾げた。


しばらくして、小さな口を開き、澄んだ目で見つめ返すと、にっこりと笑顔を貼り付けた。





『……今の感情は？』


龍水｢言わせるのか？｣


『無粋かな』





何か言いたげな龍水の口元を眺めて、大体の感情の内容を把握した琴寧は、龍水の顎の下を、猫でも撫でるように人差し指でなぞった。





『君は貨幣という概念を、“信頼”だと評価しているようだが、それは持っている側の人間にしか通用しないよ。』


龍水｢では、貴様にとって、金とは？｣


『そうだな…酒か、煙草か、あるいは、麻薬か…』





依存した人間にとって、無くてはならないもので、体を蝕み、溺れ、壊れても、それを求めるしかない、無くては生活さえままならない。


幼少期から、自由なお金が1円として無かった琴寧にとっては、金はずっとそう見えていた。





金の前には、司も、誰しも、


あの父親でさえ、無力に等しい。





龍水｢金の前には、皆平等ということか。｣


『ああ、平等さ、警察官も、村民も、戦闘員だって。』


龍水｢…？｣





お互いの鼻先が触れるほどの距離、


その吸い込まれるような瞳に釘付けになり目が離せなくなる。





首に回された手も、掌全体で感じる柔らかな太腿も、ほんの数センチで届く唇も、全部、



全部、





『(君を捕らえる為の罠だよ)』


陽｢ヒョ〜〜〜！！キッショ〜〜〜〜〜〜！！！｣





遠くで大人数が駆け込む、大きな足音がする。






彼女はにこりと微笑んだ。


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