こんな世界でも愛を教えてくれますか3

111：お金の作り方 ページ14

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『貨幣か…うん、そろそろ造ってもいいかもね。』





目の前には“１００”と彫られた印を、必死に制作する漫画家。


姫抱きされたままの琴寧はにっこりと龍水の意見に賛同しながら、彼の髪をくるくると自身の指に巻き付け、手遊びをしていた。





龍水｢石油1mLあたり、この100ドラゴと交換する。故に千空達は出航までに金を稼がねばならん。

欲しいものがあれば俺に言え！千空達に金を支払い貴様の欲しいものを優先的に作らせよう！｣





そんな琴寧がかわいくて堪らないのか、それとも旧世界からずっとそうなのか、にやにやと歪に口角を上げ、彼女片手にフィンガースナップを行う。


琴寧の手が止まった。





『…優先的に？』





彼女も龍水ほどでは無いが、強欲な人間だ。


欲しいものは沢山ある。





龍水｢当然だろう。千空たちは一刻も早く金が欲しい。俺は貴様のためにいくらでも金を払う。なら、千空は何よりも先に琴寧の欲しいものを作るだろうな。｣


『…合理主義の彼なら、そうするかもしれないね』





しかし国民一同が同じ目標に向かって頑張っている中、設計以外でなんの役にも立てない自分がそんな贅沢をしていいのだろうか。


彼らの足止めとなるような龍水の既得権益発言に、一瞬だけ司が脳裏を横切った。





『…私専用の病院が欲しい！君の船にも医務室をつけてくれ。皆が安全に生活する上で必要だ！』





琴寧はしばらく考えた後、結局千空も金が欲しいだろうという結論に至り、いずれにしても必要な最低限のものをねだった。




パチンと龍水の指が鳴る。

作りたての紙幣の束を、休憩時間に入るらしいゴーザンとモリトに差し出した。





龍水｢フゥン、いいだろう！そこの巨漢戦士！この金をやろう。この造船所と科学王国本拠地に病棟を建てろ！設計図は千空から貰うんだな。｣





モリト｢は？｣


ゴーザン｢巫女さん、コイツ誰？｣





マイペースすぎる龍水に戦士2人が狼狽える。


琴寧は眉を下げて笑い、事の説明を2人にもわかるように丁寧に行った。





モリト｢金なんてもん無くても、巫女さんの頼みならなんでも作るぜ｣


『ふふ、なら貰ったお金は千空に渡してくれると助かる。もう休憩に入っていいよ。』


ゴーザン｢ウッス！じゃあね巫女さん｣





2人はダラダラと喋りながら造船場から出ていった。


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