99:戦いよりも ページ2
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10人あまりが座れる、大きなテーブルの一角、そこまで周りに配慮せず会話した2人のおかげで、琴寧の手が止まる。
彼女は冷や汗を垂らし、真顔でコハクに顔を向けた。
『……私は、可愛いのか…?』
そのセリフに、その席の全員が手を止め、琴寧に視線を集める。
目を丸くしたその少女に、コハクが1番に返事をした。
コハク「かわいくは無いな」
杠「わぁ、コハクちゃんズバッと…」
コハク「かわいいとは、スイカのような少女の事を言うのだろう?」
『私も、今まで小さな子供や動物に対して使う言葉だと認識していた。私が可愛いなら、ここにいる全員可愛いという事になるが、ゲンは何故私に対してだけ可愛いなんて表現をしたんだ?』
杠「随分哲学的ですな…」
ニッキー「可愛いにも種類があるんだよ、好きと同じさ」
『つまり、ゲンには私が子供や動物と別の可愛いに見えているという事か?困ったな、ついこの間やっと愛について、理解したのに、また不可解な課題ができてしまった…』
ゲンの言葉を反芻し頭をぐるぐるとした琴寧に、周りの女性陣が吹き出す。
“可愛い”についてここまで真剣に悩むなんて、それこそ“かわいい”。
コハクがふざけて「かわいい」と言ったのを皮切りに、杠、ルリ、ニッキーと、次々に「かわいい」と琴寧を愛で始めた。
『や、やめるんだ!みんな、混乱する!』
眉を下げて、焦った琴寧に、杠がいっとう嬉しそうな笑みを浮かべる。
3700年前、女子からも高嶺の花と謳われ千空以外誰も寄り付かなかった彼女が、こんなに表情を崩し同年代の女性と話しているなんて。
とても嬉しい。
杠は隣に座る琴寧の腕に抱きつき、「女の子は、みんなかわいいんだよ!」と彼女の鼻をつついた。
『!……杠も、コハクも、みんな?』
杠「うん、みんな」
『…かわいい……、ああ、これが、かわいい』
納得したように杠の頬を撫で、その新緑を閉じ込めた瞳を濡らす。
嬉しそうに目をきらきらとさせた琴寧は、周りの男が、大樹が焦るほどに顔を寄せ、
かわいい、かわいいと杠を可愛がった。
杠「うーん、照れますな…」
ニッキー「アンタが男だったら惚れてたよ」
ふわりと春の風が吹く。
終戦直後の科学王国は驚くほど平和で、陽気にその心を踊らせた。
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柏餅(プロフ) - 栗子さん» \(//∇//)\ (2月23日 11時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - 柏餅さん» あけましておめでとうございます〜!🐉⛩️🎍ハートのクイーンは今後も重要な要素なので注目されて嬉しいです!!✨今年もよろしくお願いします!!🫶 (1月13日 17時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 夢主ちゃんハートのクイーンが欲しかったのお嬢すぎて好きです!遅れましたが明けましておめでとうございます! (1月9日 13時) (レス) @page50 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - マジで共感の嵐です! (12月7日 17時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - 柏餅さん» Dr.STONEの女の子ってマジでいい女ばっかですよね〜!最新話まで見てくれてありがとうございます!!🥳 (12月4日 23時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗子 | 作成日時:2023年10月3日 22時