88：そして眠りに ページ40
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彼が生き返ったら、
私は、返さなくてはいけない。
熱くて、痛くて、苦しいほどの、
『愛を』
千空が目を見開く。
私の肩を抱くちからが、少しだけ強くなった。
『返さなくては、こんなにも大きな愛を、私は、知らなかった、千空、教えてくれ、こんな世界で、』
こんな世界で、愛を教えてくれ。
司に返せるほどの大きな愛を、
命を犠牲にできるほどの愛を、
『私は、誰かを愛する事ができるのだろうか』
実の父親に愛される事も叶わなかったこんな私に、人を愛することなど。
力を込めた、今にも壊れそうなその手を離して、千空は琴寧の肩を掴む。
次に、彼は正面から琴寧を抱き締め、早まるその鼓動を落ち着けようと背中をポンポンと叩いた。
彼女はそうしない。
誰かを落ち着かせるために人を抱きしめる時、琴寧は、琴寧だけは、決まって抱きしめた手のひらを背中で強く押して激励する。
愛された子の知る背中の叩き方を、親が子をあやす仕草を、琴寧だけが知らない。
千空は何度も、いっとう優しく背中を叩いて、泣きじゃくる琴寧を落ち着かせた。
千空｢できるに決まってんだろ、テメーは既にくっそデケェ愛を持ってる。それに気付いてねぇだけだ。｣
『千空、せんくう、』
千空｢びっくりしたな、急にあんな重い感情ぶつけられて。熱くも、痛くも、苦しくもねぇよ、色んな形があるんだ。本当は、あったけぇし柔けぇし、心地いいもんなんだぜ、｣
らしくない、
本当に、らしくない。
なんとか白夜の紡ぐような言葉を思い出して、なんとか琴寧が落ち着くような言葉を並べた。
目の前の少女はいつも、羨ましそうに見ていたから。
自分を抱き締める白夜の姿に誰かを重ねていたから。
泣き止んで欲しい。
笑って欲しい。
そんな思いでいっとう優しく抱き締める。
『せんくう』
千空｢もう寝ろ、そろそろキチィだろ｣
『うん』
千空｢心配すんな、メスライオンのコハクが安全運転で車まで運んでやっからよ｣
『うん…』
千空｢疲れたな、ヒョロガリには最悪の1日だぜ｣
『…………うん…』
控えめな吐息が、一定のリズムで聞こえてくる。
気絶するように眠りに落ちた琴寧は、千空の服をしっかりと掴んで、離さない。
まるで子供のようで、いつもの彼女の面影は消え去っていた。
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栗子(プロフ) - あんあんねこさん» ありがとうございます！💕💕お話のスピード遅くて主人公がどうなっていくのかのろりのろり更新ですけど気長に待ってくれると嬉しいなっ☆💦めっちゃ嬉しいです！頑張ります！！(ง •̀_•́)ง (9月24日 1時) (
レス) @page41 id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
あんあんねこ(プロフ) - この作品本当に大好きです！！！！主人公がどうなるのか、、、！！！めちゃくちゃ楽しみです！！作者様のペースで頑張ってくださいっ！！！！！！！！！ (9月23日 12時) (レス) @page40 id: 3021c16fe7 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - 幸子さん» きゃー！✨👏嬉しいけど体調には気を付けてくださいね！？ありがとうございます💕最近出せない日多いから頑張りますね！💪 (9月21日 19時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
幸子 - 夜更かしして全話読みました！最高です！！続き楽しみにしてます( *´꒳`*) (9月21日 16時) (レス) @page38 id: b07e9edb38 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - ナナさん» コメントありがとうございます！！頑張ります！🔥 (8月31日 13時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：栗子 | 作成日時：2023年8月23日 21時
