83:死の川 ページ35
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下は深い川と滝壺。
彼女の病気。
司は琴寧に手を伸ばし、落ちる寸前で腕を掴む。
『っ!?ばか!!』
両手が塞がった司の胸に。
深く、管槍が貫通した。
氷月「大正解ですよ、琴寧くん。咄嗟の判断で、君が未来くんの代わりに司くんの守るモノになってくれて嬉しいです。僕とて少女に槍を向けるのは心苦しいですから。」
『司!!!』
氷月「こうでもしないと、決して自分から守られる側になんて回らなかったでしょう。頑固ですねぇ。」
司の掴む力がだんだんと弱くなる。
すんでのところで千空が到着するも、体が傾き、氷月の一振で頭から川底に落ちて行った。
4人で川の激流に流され、コハク達を置いていく。
未来は涙を流し、叫び声をあげる。
司は、意識を朦朧とさせ、ただ激流に抗い呼吸をしていた。
千空「司!!しっかりしろ!!顔だけは水に付けんじゃねぇぞ!!」
氷月「司くんの死は免れないでしょう。1番に助けに来たのが千空くんでよかった。」
春の雪解け水。
氷の様に冷たく、4人の体温を奪っていく。
千空も、氷月も知らない。
琴寧が、今まで、どんな病気と闘ってきたのか。
『ゲホッッ!!ガッッ、はァっ!!助けっ…!?』
雨に打たれるだけで、
凍てつく病院に放り出されるだけで、
体を丸め、苦しんでいた琴寧が、
千空「……琴寧?」
泳ぎ方など、知っているはずが無いのだ。
まして体の自由が聞かない激流の中、
足のつかない川底に、
誰よりも重い服を着衣の状態で。
彼女はどうして浮いていられる事ができようか。
どうして、パニックにならずにいられようか。
彼女が溺れるのは当然の道理。
2人とも意識を司に持っていかれ、そこまで頭が回らなかった。
気付けなかった。
司だけが、朦朧とする意識の中で、反射的に彼女の元へ流れて行った。
彼女を抱き締め、顔を水面から出す。
『ゲホッゴホッ!!つかさ、ありがとう、今血を止めよう…!』
司「だめだ、だめだ、体を冷やしちゃ、こんなにストレスを与えては、また、あんな風に、君の体はまだ、ダメなんだ……」
『?…つかさ、やめろ、離せ、密着していては止血できないだろう!?』
司「温めなきゃ、こんなに体を冷やして、またあんな風になれば君はこの世界で…」
『…司?』
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栗子(プロフ) - あんあんねこさん» ありがとうございます!💕💕お話のスピード遅くて主人公がどうなっていくのかのろりのろり更新ですけど気長に待ってくれると嬉しいなっ☆💦めっちゃ嬉しいです!頑張ります!!(ง •̀_•́)ง (9月24日 1時) (レス) @page41 id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
あんあんねこ(プロフ) - この作品本当に大好きです!!!!主人公がどうなるのか、、、!!!めちゃくちゃ楽しみです!!作者様のペースで頑張ってくださいっ!!!!!!!!! (9月23日 12時) (レス) @page40 id: 3021c16fe7 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - 幸子さん» きゃー!✨👏嬉しいけど体調には気を付けてくださいね!?ありがとうございます💕最近出せない日多いから頑張りますね!💪 (9月21日 19時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
幸子 - 夜更かしして全話読みました!最高です!!続き楽しみにしてます( *´꒳`*) (9月21日 16時) (レス) @page38 id: b07e9edb38 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - ナナさん» コメントありがとうございます!!頑張ります!🔥 (8月31日 13時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗子 | 作成日時:2023年8月23日 21時