77:知って欲しい ページ29
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『…………君が、私の事を知れて嬉しいと言うから』
ゲン「え」
驚いて思わず彼女に目線を移す。
彼女は不貞腐れた様に俯いて、手をもじもじとさせた。
ゲン「琴寧ちゃ」
『すまない、忘れてくれ。それより今度は私から質問だ。』
ゲン「ちょ、ちょちょちょ、待って待って!覚えててくれたの?てかあんな何でもない俺の言葉で、そんな大切な事まで…」
『何でもなかったのか…』
ゲン「本気でした!!何でもなくありません!!教えてくれてありがとうございます!!」
いかにも本気にした私が馬鹿だった、というような表情で放心するものだから、焦って弁解の言葉を述べる。
ダメだ可愛すぎる。
今車運転してなかったら確実に抱き締めてる。
ありがとう千空ちゃん。
千空ちゃんのおかげで奇行に走らなくて済んだ。
ゲン「(あぶな…)」
さすがに司ちゃんが妹救おうとしてる時にそんな事するなんて、不謹慎すぎでしょ、
てか琴寧ちゃんよくこの雰囲気でぶっ込んだな。
『千空や大樹には、聞かれなかったから教えてないだけだよ。重く考えなくていい。言いふらしても構わない。』
ゲン「いい笑顔ね」
琴寧ちゃんに2番目に似合う笑顔。
普段の自信満々に笑うそれと違って、力が抜けて、眉が下がって、へにゃりと笑う顔。
今はフードとマスクしててわかりにくいけど、ゴイスーに可愛い。
ゲン「ふふ、じゃあ気を取り直して、お兄さんに質問あるんでしょ?聞くよ」
『大した質問じゃない。メンタリストの意見が欲しいんだ。』
ゲン「うんうん」
『……勘違いするのは、誰なんだ。』
真剣な表情。
冗談や悪戯なんて、そんな言葉じゃ失礼になるほど、まっすぐとした瞳でこちらを見つめる。
ああ、この子は本当にわかっていないんだ。
今、この状況で、この話題。恋の話題。
いや、この子はそうであるとも気付いてない。
この話題が、司ちゃんのと同じくらい大切で、重要で、知りたいことだって、そう思ってる。
ゲン「………純粋な子…かなぁ」
『……………………そうか』
俺の言葉を飲み込んで、頭の中でなんだか咀嚼してるように見える。
そうだよね。
娯楽を知らない君が、
恋を楽しいものだとわかる筈がないよね。
こんな世界で、愛する事を知っていくしか、無いんだよね。
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栗子(プロフ) - あんあんねこさん» ありがとうございます!💕💕お話のスピード遅くて主人公がどうなっていくのかのろりのろり更新ですけど気長に待ってくれると嬉しいなっ☆💦めっちゃ嬉しいです!頑張ります!!(ง •̀_•́)ง (9月24日 1時) (レス) @page41 id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
あんあんねこ(プロフ) - この作品本当に大好きです!!!!主人公がどうなるのか、、、!!!めちゃくちゃ楽しみです!!作者様のペースで頑張ってくださいっ!!!!!!!!! (9月23日 12時) (レス) @page40 id: 3021c16fe7 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - 幸子さん» きゃー!✨👏嬉しいけど体調には気を付けてくださいね!?ありがとうございます💕最近出せない日多いから頑張りますね!💪 (9月21日 19時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
幸子 - 夜更かしして全話読みました!最高です!!続き楽しみにしてます( *´꒳`*) (9月21日 16時) (レス) @page38 id: b07e9edb38 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - ナナさん» コメントありがとうございます!!頑張ります!🔥 (8月31日 13時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗子 | 作成日時:2023年8月23日 21時