73:骨の髄まで ページ25
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『私は君の妹を助ける。』
司「だめだ、病院の場所もわからないのに、体の弱い君が行けば確実に身を滅ぼす」
一糸まとわぬ状態で大雨に打たれ、体から熱が奪われる。
ただ、長く重いその黒髪だけが、彼女を外気から護っていた。
『病院の場所は植生と地形を見れば大体わかる、復活液のレシピも杠から聞いた。私の主治医を起こして医療機器のエンジニアを教えてもらえば、未来を復活させた後の生命維持装置を作ってくれるかもしれない。』
司「君の病気は?それに何年かかるんだい?そうして復活させた後、どうするって言うんだ!こんな世界で…!」
『未来を生き返らせる。』
大雨で視界も悪い中霧と消えていく琴寧を、必死に追いかけて手を掴んでも、振り払われてしまう。
君ならできると言いたい。
君を信じたい。
でも俺は決めてしまったんだ。
この世界の悪になって、みんなを護るんだって、
それが一番、
未来がもう生き返らないと確信した世界で一番、
未来が喜んでくれる選択だと思ったから、
司「待って、琴寧、」
『離してくれ、君は綺麗な国を作っていればいいだろう』
司「違う、違うんだ、琴寧、話そう」
しつこい、と言うように腕を振り払って走り始める。
だめだ、外は寒いんだ、君に2度も、俺のせいであんな苦しい思いを、させる訳には、
司「…琴寧…………っ!?」
『……?』
追いかけて、掴んだその手が恐ろしく白くて。
あの日の君の指先と、
同じ色をしていたんだ。
『────────ぁぁぁぁぁぁぁああッ!!!?』
これ以上行かせちゃいけないって思って、
君を守らなきゃって、心が苦しくて、
離れる君に、どうしようも無くて、
それで、
俺は、気付いたら君の足を切っていたんだ。
『ッッッ…!!い、たい…熱い、何が………ッ!?』
内くるぶしから外にかけて、深い石器の傷が、両足に容赦なく入る。
大量の血が雨に打たれて地面に染みていく。
応急処置で、近くの蔓をぐるぐるに巻いて足を固定した。
何故。
何故司は、こんな事を。
『………………っ、』
琴寧は必死に考えて司の表情を読み取ろうと目を向ける。
彼は、涙を流して驚いていた。
『…………つかさ、おいで』
手を伸ばす。
彼は反射のように手を伸ばし、彼女の手を握りしめた。
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栗子(プロフ) - あんあんねこさん» ありがとうございます!💕💕お話のスピード遅くて主人公がどうなっていくのかのろりのろり更新ですけど気長に待ってくれると嬉しいなっ☆💦めっちゃ嬉しいです!頑張ります!!(ง •̀_•́)ง (9月24日 1時) (レス) @page41 id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
あんあんねこ(プロフ) - この作品本当に大好きです!!!!主人公がどうなるのか、、、!!!めちゃくちゃ楽しみです!!作者様のペースで頑張ってくださいっ!!!!!!!!! (9月23日 12時) (レス) @page40 id: 3021c16fe7 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - 幸子さん» きゃー!✨👏嬉しいけど体調には気を付けてくださいね!?ありがとうございます💕最近出せない日多いから頑張りますね!💪 (9月21日 19時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
幸子 - 夜更かしして全話読みました!最高です!!続き楽しみにしてます( *´꒳`*) (9月21日 16時) (レス) @page38 id: b07e9edb38 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - ナナさん» コメントありがとうございます!!頑張ります!🔥 (8月31日 13時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗子 | 作成日時:2023年8月23日 21時