49：お墓参り ページ1
，
ゲン｢……っ…！……琴寧ちゃん……！！｣
会敵も気にせず一目散に走って、思わず抱きつく。
分厚い布地から、かすかに伝わってくる鼓動を感じてやっと状況を把握できた。
なんで、
なんでここに、
ゲン｢囚われてる筈じゃ…っ！！｣
『これは予想外だな』
腕を回される。
早くなってた俺の鼓動を落ち着かせるように、背中を手のひらで押して、嬉しそうに『だが、あとは予想的中だ』だなんて喜ぶから、やっぱりここに来る事もバレバレかなんて、こっちまで嬉しくなって。
ゲン｢寒くない？ご飯ちゃんと食べてる？よく今日来るってわかったね。｣
顔を覗き込んで表情を確認する。
よし、健康。
身体中の仕込みを手探りで確認する。
よし、温かい。
あと、
あと、
ずっと渡したかったもの。
ゲン｢はい｣
『…花、冠？』
ゲン｢村の子供たちと作ったのよ、秋になる手前にね。もうホントギリギリよ、ギリギリなところでドライフラワーにして今こんな状態｣
綺麗な色が出た彼の作るドライフラワーの花冠は、香るはずもない残暑の香りがして。暖かくて。
喜んでフードを取り彼のささやかな戴冠式に応じた。
ゲン｢汝、安居院琴寧はこの神聖な儀において、
そうだなぁ…あ、安居院家の正式な当主に任命する！｣
『！…はは…あはははっ！！…ゲン、正気か君は！何の権限があってそんな…！ふはっ！』
ゲン｢ちょっとー、ジーマーで神聖な場なんだかんね｣
『人の墓の前だぞ…！くっはは…！』
初めて見る、彼女が腹を抱え息ができないほど笑うのは。
すごく可愛い。
あー、本当に勿体ないな、周りの男どもは。
これが見られないなんて、見る機会を自ら捨て置くなんて、
可哀想。
子供たちが心を込めて選び抜いた花を、ふんだんに、贅沢に使った、今この世界にある中で最も価値のある冠。
彼女は頭を垂れ花冠を受け取り。
世界で1番可愛い笑顔で感謝の意を述べた。
『子供たちに伝言だ。次会う時に、君たちの望みをなんでも叶えてやろう！』
ゲン｢な、んでも、って、太っ腹過ぎない！？｣
『？心配するな。もちろん君もだよ、ゲン。』
ゲン｢…………………………ん？｣
突如譲渡された、なんでも望みが叶う魔法の切符。
子供たちと違って穢れた大人のゲンは、彼女の言葉に心臓を飛び出し愚かにも固まってしまった。
，
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
栗子(プロフ) - あんあんねこさん» ありがとうございます！💕💕お話のスピード遅くて主人公がどうなっていくのかのろりのろり更新ですけど気長に待ってくれると嬉しいなっ☆💦めっちゃ嬉しいです！頑張ります！！(ง •̀_•́)ง (9月24日 1時) (
レス) @page41 id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
あんあんねこ(プロフ) - この作品本当に大好きです！！！！主人公がどうなるのか、、、！！！めちゃくちゃ楽しみです！！作者様のペースで頑張ってくださいっ！！！！！！！！！ (9月23日 12時) (レス) @page40 id: 3021c16fe7 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - 幸子さん» きゃー！✨👏嬉しいけど体調には気を付けてくださいね！？ありがとうございます💕最近出せない日多いから頑張りますね！💪 (9月21日 19時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
幸子 - 夜更かしして全話読みました！最高です！！続き楽しみにしてます( *´꒳`*) (9月21日 16時) (レス) @page38 id: b07e9edb38 (このIDを非表示/違反報告)
栗子(プロフ) - ナナさん» コメントありがとうございます！！頑張ります！🔥 (8月31日 13時) (レス) id: 117de47d08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：栗子 | 作成日時：2023年8月23日 21時
