諦め ページ9
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「艶の呼吸、伍の型。妖獣夜」
私達を大きな闇が覆い、その闇からオオカミらしき黒の物体が現れた。
グルルルと唸り声をあげる姿は、
一般人が見れば一瞬で怯むほどの迫力。
妖獣夜は私の刀を構える方向に妖獣が動き
鬼を捕まえ、その間に私が首を斬るという技。
月の光に照らされて妖しく光る刀を鬼舞辻の方に向けると、黒の物体から鋭い牙をむき出して
鬼舞辻の片腕にガブリと噛み付いた。
ビチャッと多少の血が垂れる音が聞こえる。
圧倒的な体格の差なのに構わず
妖獣を鬼舞辻は邪魔者を退かすように、
頭を掴んで後方へ投げた。
その間に、鬼舞辻の懐へ身を投げる。
「ッはぁ!」
鬼舞辻の目の前に、私の姿という幻覚を見せ
その間に首を狩ろうとする。
あともう少しで首に刀が当たるところで
力に抵抗が加わった。
〜
鬼舞辻「牡丹、愛してる」
「私もお慕い申し上げます。無惨様。」
〜
「ッ!....」
愛の言葉を交わしたあの頃。
頼もしい体に委ねた夜。
幸福に包まれてとにかく幸せだった。
なのに今は....
鬼舞辻「遅いな。」
互いに敵対存在となってしまった。
腹に大きな衝撃がくる。
鬼舞辻に膝蹴りされたのだ。
「ッ!?グハッ!ゴホッゴホ」
思わず鬼舞辻の足のそばで蹲り、吐血する。
生暖かい血という液体が喉を通り地に垂らす。
上を見ると、鬼舞辻が呆れたような表情をしていた。
鬼舞辻「....諦めて嫁になればいいものを。」
「....誰がなるも、のか!!
母を殺した奴の嫁なんかに!!!」
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でも愛してた。
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作者名:美麗 x他1人 | 作成日時:2020年3月18日 21時