愛しき人 ページ7
鬼舞辻
.
ようやく見つけた。
「....無惨様」
私を、怯える目で見つめる牡丹。
相変わらずの美貌だ。
いつもは放していた潤やかな髪も
黒のリボンで結ばれていた。
つり上がった紫色の目は、私の目に似ている。
鬼舞辻「牡丹。久しぶりだな。
よく私から逃げれたものだ....」
少し震えた牡丹の手を出来るだけ優しく握り、
路地裏へと連れていく。
抵抗するのを諦めた牡丹は、観念した様子で
着いてきてくれた。
.
今日は、麗とその子供という道具も
運良く連れてきていなかった。
丁度いい。
このまま鬼にして、私の永遠の妻にしよう。
唯一、私が生涯愛すると決めた女だ。
例え、無理やりになったとしても。
灯台もない真っ暗な路地裏。
誰の目にもつかない所まで行くと
牡丹はゆっくりと私の手を振り下ろした。
嫌いなら思いっ切り振り払えばいいものを....
こういう優しい所に惹かれたのも事実だ。
「...〜.....か？」
聞き取れなかったので思わず眉間にしわを寄せてしまう。
顔を見れば憎そうに、泣きそうな表情をしていた。
正直いってそんな顔で私を見る牡丹を
見るのは初めてだ。
「....無惨様。
女将を殺したのは、貴方ですよね？」
鬼舞辻「女将....
,
あぁ。あいつか。」
〜
女将「お願いだから....！！
牡丹に手を出さないでくれ！！
自由にしてやってくれ！頼む！たのmｯｸﾞﾊｯ!」
鬼舞辻「....ふん、目障りな雌豚め。」
私に、必死に刀を振ってきた
あのババアの事か。
珍しく綺麗な顔をしていた女だ。
心做しか、牡丹に似ていたが。
柱ほどではなかったが、強かったは強かった。
殺した後は、跡形もなく
みじん切りにしてやった。
〜
鬼舞辻「私とお前の婚約を邪魔した
張本人だ。死んで当然だな。
あいつに仄めかされて逃げたのだろう？
私はわかっている。」
私に、愛してる、と言っていた牡丹。
その表情に嘘はなかった....。
.
私の愛しき人。
鬼になってくれ。
無償で永遠の愛を与えよう。
.
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作者名：美麗 x他1人 | 作成日時：2020年3月18日 21時
