回想シーン2 ページ7
先輩花魁から貰った豪華な服に着替え、
化粧を済ます。
まだまだ新造だから誰かが手伝ってくれるということもありません。
それでも1人で「私」を美しくすることができますの。
少し重い足取りでその「危ない客」がいる部屋に向かい
襖の前に座って開ける。
顔も見ないで、三つ指をついて挨拶。
遊女の挨拶の基本。
「牡丹でありんす。今宵は何卒よろしくお願い申し上げますぅ。楽しんでくだs....!?」
完璧にできた。といつも通り心内で思っていると
いつの間にか目の前に彼の顔があった。
不本意ながら、彼の整いすぎた顔に見惚れていました。
赤い目はどこか私の目と少しばかり似ていて....
しかしその瞳の奥にはなにかが宿っている。
「私は君と戯れる為に来た訳でないのだ。」
彼は私を引き寄せ、襖をサッと閉める。
彼の胸の中に引き寄せられた私は動転していましたぁ。白いシャツから香る好きな甘い香りが
私を包んだから。
「名前を、お伺いしても宜しいでしょうか?」
声が震えてしまったけど上目遣いでそう尋ねると
彼はそっと口を開いた。
鬼舞辻「...鬼舞辻無惨だ。」
「無、無惨様。なぜ、私を指名したのですか?」
そっと、彼の胸に手を置く。
少し早まった心音が聞こえた。
だめだ、怯えてばかりいると失礼だ。
できるだけ自然に、妖しく。
そのことばかりを考えていました、
鬼舞辻「私の仲間が、花街にいるのだが
ただならぬ雰囲気の女がいると聞いてな。
気になってきたのだ。」
私の仲間....花街に鬼がいるというのか
その事実に衝撃を受けたが
彼の浅い笑みにすぐ消された。
「よく私と分かりましたね。」
鬼舞辻「君を見ればひと目でわかる。
ほかの女とは全然違うからな。
ふむ....しかし、ここまで綺麗とは聞いてない」
彼の口説き文句に笑みがこぼれる。
「ふふっ。私も正直ここまで美しい方とは思ってませんでした。」
鬼舞辻「....そうか」
サッと私を褥に押し倒す。
彼の雰囲気が妖しく変わったのがわかった。
私を抱く為に来たのではない、と言ったのに。
鬼舞辻「本当は抱くつもりはなかったが、気が変わった。今宵は私の気が済むまで抱く。」
いいな、と言って返事も聞かずに
彼は私に激しい口付けをしてきました。
私は彼が鬼である事をすっかり忘れて。
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作者名:美麗 x他1人 | 作成日時:2020年2月10日 2時