妖艶 ページ40
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「ッわぁ!見て、あの人。綺麗ねぇ。」
「うん。まさに、花も恥じらう美しさね。」
「異国のような服を着てるわね。
あれこそ、妖艶って感じねぇ。」
「素敵ねぇ。何人男を泣かせてきたんでしょうね」
カツ、カツとブーツが鳴る。
世間話をする為に
甘味処に集まった女性達がAの姿を見て、
甘味を食べる手を止めて思わず見惚れていた。
すらっと伸びる美脚に、美しいくびれの曲線。
ふくよかな胸は、隊服からはち切れんばかりに溢れている。
日光に照らされた紫色の髪と瞳は妖しく光っていて、見る人を魅了させる。
驚くほど整った顔は、男女関係なく惚れてしまう。
さて....当の本人は。
「全部聞こえてるんですよねぇ....
私は男を泣かせたことはありませんよぉ。」
普通聞こえるはずがない距離なのに、
彼女はコソコソ話を聞き取っていた。
彼女の、恐るべき五感である。
「えぇと....
まずは、聞き取りをしないといけませんねぇ。」
鬼のもっと詳しい情報を知るにはまず、
街の人の情報が必要だ。
地味な作業だが、鬼狩りでは
とても大切な事である。
「....誰に聞きましょうかねぇ。....」
周りを見渡しても、どこかへ急いでいる人や
家族連ればかり。
Aは、あ、そうだ。と思いつきをして
いたずらっぽい笑みを浮かべた。
彼女が向かったのは、
先程甘味処でコソコソとAのことを話していた女性達だった。
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作者名:美麗 x他1人 | 作成日時:2020年2月10日 2時