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冷柱 ページ33

槇寿郎





麗「....なぜ殴らない。なぜ手を下ろす?
私に腹が立つのだろう?虫唾が走るだろう?」



結局、俺は麗沙を殴らなかった。


意味をなくした手を力なく振り下ろす。




槇「....あぁ、そうだ。俺は哀れだ。



柱でありながらも、鬼を目の前にしても
自分の感情を抑えることが出来なかった....!
鬼と自分の息子達を重ねてしまうなど....
お前の言った通りだ。こんな腰抜けの俺は
柱である資格がない。....」



気付けば、ポロポロと涙が溢れていた。



視界が涙で滲む。


ゴシゴシと目を擦る手を、麗沙は優しく掴んだ。


死んだ者のように、麗沙の手は冷たかった。




麗「....そうやって諦める気かい。
男のくせにピーピー喚くだけ喚いてそれで終わりか?
努力もせずに、自分は弱いと過小評価をし続け
結局は、鬼に殺されるつもりか?」




槇「お前に何がわかる....ガキのお前に。」





容赦のないやつの言葉は、俺の心にザクザクと
深く刺さる。

しかし、どこか心にストンとする
落ち着く声だった。





やつに試されてた....と気付くのは、
結構先の話だ。



麗「分かるさ。私も貴方と同じように
何回も自分の感情のせいで挫折してきたよ。
その度に泣き崩れたさ。




....でも、それは無駄だと気がついた。」




槇「....」



麗「私ら鬼殺隊の宿命は、
鬼を倒す。それだけ。
鬼がどんな姿であろうと。

親、子どもだとしても。
血を分けた兄弟としても。
愛する恋人や夫婦だとしても、関係ない。



....鬼を殺すという栄光ある行為に、
自分の感情など鬼に対する「憎悪」のみで充分
他は、さっさと捨ててしまいな。」






自分の感情を捨てる。



だから彼女はこんなに冷たく
無感情な雰囲気を醸し出してるんだ、と気付いた。




槇「.....鬼に対する憎悪。」




彼女は俺の表情を見てふっと安心したように笑って、風のように姿を消した。






麗沙は、柱の中でも
蘭柱と共に、「冷柱」とも呼ばれていた。



とても整った美しい顔でありながらも
その表情は変わらず、氷のよう。


しかし、戦う時は花のように美しく舞う。



月明かりに照らされる薄藤色の髪は綺麗に
輝く。


彼岸花色に塗られた唇は色っぽい。



一瞬で目を奪われる程の美しさだった。


彼女の美しさに、一目惚れをする奴も多く
告白は何度もされていた。


彼女は返事を保留し、その隊士が死ぬまで
返事は返さない、という可哀想な事をしていた。

お母さん→←蘭柱



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設定タグ:鬼滅の刃 , 逆ハー , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:美麗 x他1人 | 作成日時:2020年2月10日 2時

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