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最初2人の交際は腹ただしいことに順調なようで。
嬉しそうに翔太くんのここが好き、だなんて惚気けてくる愛しの彼の話を煮えたぎる思いで聞き流している。
(いつか絶対取り返す取り返す取り返す取り返す)
大好きなその顔が他の男によるものだということが許せなくて。
だが、神様は、天使ではなく悪魔の味方をしてくれたらしい。
そんな日々も長くは続かなかったのだ。
日に日にあの子の元気がなくなっていくような気がした。
「康二、どうしたの?」
彼以外には出したことのない優しく甘い声で彼の頭を撫でながら話しかける。
翔太くんと喧嘩した、とか。
翔太くんと別れた、とか。
そんな話だったら最高だな、なんて思って内心わくわくして聞く。
甘い声で聞いてあげれば、彼はすぐに俺を頼るはず。
案の定。
「ん、めめぇ。」
膝を抱えて顔を伏せてた彼がゆっくり顔をあげた。
上目遣い、涙目、縋るような目。
あぁ、もう堪んない。
「翔太くんとなんかあった?」
そう聞くと彼は大きく目を見開いた。
…ビンゴ。
「…いや、喧嘩とかしたわけやないけど…。俺、ほんまに翔太くんのこと好きやねん…。」
その言葉に心が真っ黒に染っていくが、あくまでも優しい声で先を促す。
「俺は、頼るのも一緒に笑いたいんも、泣きたいんも一緒にいたいんもぜーんぶ翔太くんやのに。だてには勝てんな、って付き合い始めてから余計に思っちゃった。」
はらりと、瞳に溜まっていた水分が頬を伝っていく。
あぁ、なんて綺麗なのだろう。
「元々、翔太くんがだてに色々相談してたのは知ってて。付き合ったら俺に頼ってくれるんかな、って思ってて…。俺は翔太くんの悩みも悲しみも全部受け止めたいのに。」
“まるで他の男に本気で恋してるかのように”他の男の話をする彼にイラつきながらも。
望む方向に進んでいることを察し、喜んだ。
「でも、付き合ってからもだてと2人でよう遊びにいっとったりして。この前も俺が夜中に起きたら、翔太くんがだてと楽しそうに嬉しそうに電話しとって…。幼馴染みやから1番一緒にいて楽なんやろうな、とは分かってんねん…。ワガママなんかなぁ…翔太くんの1番になりたい。」
そうやってはらはらと涙を流す彼は今まで見た中で1番美しくて。
それが想い人のことを考えてるせいだと思えば腹が煮えたぎる。
それでも。
((やっと取り返せるかもしれない。あと少し。))
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Chia(プロフ) - 桃色ウサギさん» コメント嬉しいです、ありがとうございます!放っておいたらabkjかmmkjばっかり書いてしまう人間なのでそう言って貰えて嬉しいです笑これからもお付き合いいただければ幸いです.....! (2020年12月14日 7時) (レス) id: e3d09570aa (このIDを非表示/違反報告)
桃色ウサギ(プロフ) - Cinaさんが紡ぐ物語がとても好きです。康二くんが可愛がられるのがとても好きなんですけどabkjってあんまり書く人居ないのでCinaさんが書いてくださるのとても嬉しいです。abkj今後も書くことがありましたらまたよろしくお願いします! (2020年12月13日 19時) (レス) id: f779f0cbc8 (このIDを非表示/違反報告)
Chia(プロフ) - いさん» ありがとうございます!展開色々悩んでるので思いついたら書かせていただきます...!コメントありがとうございました!嬉しいです、頑張って書きますね...!nbkjももっと上手く書けるように頑張ります笑 (2020年6月28日 0時) (レス) id: 5566412594 (このIDを非表示/違反報告)
い - Chiaさんの書くお話が好きでよく見てます!nbkj推しなので悪魔の手の内の続きがあったらどうなっちゃうのかすごく気になります..!またよろしければ続きが見たいです!これからも楽しみにしてるので、お体に気をつけて頑張ってください! (2020年6月25日 0時) (レス) id: 4a4b84cb77 (このIDを非表示/違反報告)
Chia(プロフ) - さおりんさん» さおりんさん、いつもコメントありがとうございます!!iwkj書きなれていないので、不安だったのですが、そう言っていただけてほっとしました。ありがとうございます! (2020年5月25日 9時) (レス) id: 5566412594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chia | 作成日時:2020年3月19日 0時