優しい炎に包まれて【煉獄杏寿郎】

拾漆 ページ19

師範が死んで、私は柱になった。柱になっても今も煉獄家に住んでいる。愼寿郎さんには時々稽古をつけてもらっている







『じゃあ千寿郎君、愼寿郎さん。行ってきます』





「行ってらっしゃいませ姉上！！」





「ああ…行ってらっしゃい」






千寿郎君はあの日から、私のことを"姉上"と呼ぶようになった。嬉しいな…。私も千寿郎君のことは弟みたいだと思っている







【炎の呼吸 壱ノ型 不知火】







今日も鬼の頸を斬っていく









刀を鞘に収め、来た道を戻ろうとした時、今までに感じたことのない殺気を感じた









この感覚…十二鬼月…？









最悪だ…私一人で勝てるかな…紫雨に応戦を頼む…？








「杏寿郎の他にも…炎の呼吸を使う奴がいるとはな」








『！』









「猗窩座…あれは女だ…女は殺さないのではなかったのか……？」









『上弦…壱と…参』









両親を殺した鬼と、師範を殺した鬼が今目の前にいる









刀を握る手が震えてきた。恐怖ではない。怒りでだ









こいつ…こいつらが…私の家族を…









「女、名はなんという。俺は女は殺さない主義だが…お前は別だ。杏寿郎と何か関わりがあるのだろう？」






『私…は、炎柱…煉獄杏寿郎の継子の…A雫…』






「そうか。俺は猗窩座。雫、いい提案がある」






猗窩座は私に手を差し伸べた






「お前も鬼にならないか？」







『ならない…』







「猗窩座…早く仕留めろ…」







まずい…攻撃が来る…！









刀を抜こうとした時、上弦の壱が私の横を通った







「次は…その右手を斬る」







『っ！！』









何が起きたか理解が出来なかった。今の一瞬で右腕が斬られた。切断されていないだけマシだ









呼吸を整えろ…落ち着け…









勝てなくても日の出まで持ちこたえろ…竈門君によると、猗窩座は日が完全に昇りきる前に逃げたらしい









師範から教えてもらったことを忘れるな









燃やせ









心を燃やせ！

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