Secret Answer (ページ34)

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30 不釣り合いの暖かさページ34

向かった先は洗面所。手を洗って、特にこの後何も無いのでメイクを落として顔も洗った。

「っつ……………」

そして、知らないうちにぽろぽろと涙を流していた。扉の向こうからは3人の談笑する声が聞こえてくる。

そして、それはとても暖かい。私なんかには不釣り合いなくらいに。

京本『クローバー？大丈夫？なかなか戻ってこないけど……って、』

「大丈夫、気にしないで」

京本『泣いてるじゃん。』

「泣いてな、っ」

そう言って目を必死にこすると、後ろから京本さんの手が回ってきてパッと目から手を離された。

振り返ると、目黒くんと岩本さんも京本さんの後ろにいた。

京本『…無理しなくていいよ。』

岩本『そうそう。』

目黒『味方はいっぱいいるし。話したくなければそれでいいし。』

「みんな………」

京本さんがそっと手を離す。私は力なく手をぶらんと降ろすと、

「私ね、親がどっちとも狩りで殺られたの」

と、打ち明けた。

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事件が起きたのは高校3年の時。
卒業式を来週に控えていて、珍しく結構な勢いで雨が降っていた日だった。

親の仕事が終わるのが遅く、夕飯は私の担当になっていた。

その日も学校から帰宅して、夕飯の支度を始めようとした時のこと。たまたまつけていたニュースの速報で、最寄りから5駅先のホームで狩りが起きたと流れた。

両親が仕事で使っている駅だな、と思いつつ時間もまだ早かったので、特に何の連絡もせずに夕飯を作っていた。

18時すぎ。料理を並べ終えたところで丁度私の携帯が鳴る。ディスプレイには「お母さん」の文字。

「もしもし？」

『もしもし、Aさんでいらっしゃいますか。』

「…はい。あの、失礼ですが…貴方は？」

『私、岬さんの会社の同僚の佐々木といいます。大変、申し上げにくいのですが……岬さんと…恐らく旦那さんも…………亡くなられました』

「え……………」

『今、市民病院の霊安室にみえます。私は最後に岬さんと連絡をとったということで呼ばれていて…病院まで来られますか？』

「……わかりました。」

何故かすごく冷静に答え、出来たばかりのものにラップをかけて冷蔵庫に入れていったのを今でも覚えている。

そこから先は、病院で2人の遺体を見て、手続きや葬儀も簡単に済ませて………という、とても簡素なものだった。