episode251 Side Y ページ9
「ふふ、そっか」
今の感情は、自分でも何とも言えない。
絵の具が混じりあったパレットの中みたい。何色とも言えない、ただぐるぐると忙しなかつた頭の中を占めたのは、相変わらずつんと澄ましたAの顔。
「急に笑い出して。何か面白いこと、あった？」
「ううん。ねぇ、A。それって、君のお願い？」
首を傾げて、Aの目を覗き込んだ。
彗星みたいな光を閉じ込めた、本当に綺麗な目。
時間を忘れてずっと見つめ合っていたい、そう思わせられるくらいだけど、それをAは許してくれない。
少しでも僕が黙れば、すぐに話の主導権は攫われてしまう。
だから物言わずとも続きを急かすAに対して、僕は素直に従うだけ。Aが僕を見ていてくれるように、なんて、淡い期待を隠して。
「試合に勝って、一星君を味方に引き入れて、自分のことも助けてほしい。それを全部、僕にやってほしいって、……僕なら出来るって信じてくれてることかなって思って」
相変わらず、キンと凍ってしまいそうなくらいにそっけない。
でも、その双眸は間違いなく僕の方だけを向いている。話を聞いて興味を失くした、ということではなさそう。
「……ああ、悔しいな。こんな時でも、やっぱり君から頼りにされるのは、すごく嬉しいことだからさ」
「へぇ、それは良かったね。でも、全然違うから」
ただ無関心よりも優しい、それでいて質の悪い＿＿静かな憤りを
得意げに弧を描かせていた口が、その拍子に思わず丸く開いてしまう。
「……びっくりした。Aって、そんなことする子だった？」
「ねぇ、相棒だって言ってくれたの、誰だっけ。それとも君にとっての“相棒”って、絶え間なく施してやる相手って意味？それは殊勝だね、皇帝陛下。ノブレスオブリージュってやつかい」
いつにも増して、饒舌だ。
どうやら余程怒っているようだ、Aは何本もの矢を此方へ放つように捲し立てて、今度は僕に口を開かせる隙を与えてくれなくなった。
(相棒という関係に固執しているのは、間違いなく僕の方。……でも)
「これは私達で、そして何より、チームみんなで乗り越えるものでしょ。勝手にひとりで背負わないで」
だからといってAは関心を持っていない、という訳ではなかったらしい。
お願いなんて、甘ったれたものじゃない。
これは僕の可愛い相棒からの、ある種の強迫。
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三峰 契(プロフ) - 琥珀恋歌さん» お返事お待たせしてしまい申し訳ありません…！現在本編に集中する為、スピンオフの方は更新をお休みさせて頂いております。更新再開時にまたパスワードを公開する予定です！ (2021年4月2日 23時) (
レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
琥珀恋歌(プロフ) - スピンオフのパスワード教えてください！ (2021年3月18日 13時) (レス) id: a29e155f14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三峰 契 | 作成日時：2021年2月27日 18時
