248 ベット・ザ・リミット ページ6
一星くんをこのままにしていたら、大会にも影響が出ることは確か。
豪炎寺先輩に、鬼道先輩。
そして＿＿無事に帰って来れたとはいえ、円堂先輩。
此方の戦力を削ぐ為に。
それはもう、
「断定するよ。次に組織に狙われるのは、君だ」
静まり返った部屋に、嫌に私の声が響く。
悠馬は虚しい反響をゆっくりと吸い込むように、瞼を閉じた。
「……もう、覚悟はしてたってことかな」
ふたりの自嘲が、からからと。
グラスの中を漂う氷のように、擦れ合う。
「絶対的な信頼を寄せられるチームの司令塔である鬼道さんを無力化したと思ったら、また新しい司令塔が現れた。しかも今度は、組織側の目的を明確に知っているとなれば、……ね」
悠馬が気付かない訳もない。
組織側の目的を明確に、知っている。
それはある意味、あの時の鬼道先輩よりも厄介だ。
君の価値観の根底は、どうなっているんだろう。
でも少なくともかつての彼は、自己犠牲と切っても切れない結び付き方をしていた。
西蔭さんから聞いた話では、火災現場に飛び込んで、逃げ遅れた女の子を助けたり。
そして私が目にした光景としては、アレスプログラムの欠陥を暴く為に、脳にわざと腫瘍を棲まわせ続けていたり。
(本当、どうかしてるんだよ、君って)
そんな悠馬のことだ。
鬼道先輩のように、チームを守る為に悪役に徹する、なんて難しいことだって容易くやってのけてしまうのだろう。
それは私や一星充くんには、出来なかったこと。
けれど、それをただ見ているだけなんて、絶対に嫌。
「私は一星くん達も守りたいし、君も守りたい。でも次の試合＿＿相手の直接的な介入が許されてしまうタイミングまでは、もう時間がない。私にも一星くん達にも随分な荒治療にはなるけれど」
「でも、だからって」
いつも私の話すテンポに合わせてくれる悠馬が、珍しく食い気味に言葉を継ぐ。
それは、無意識に口走ってしまった、といった様子。
色んな言いたいことを噛み潰すように、最後に絞り出す一言。
「……君だけが傷付くことなんか、ないのに」
君は何より確実な方法を好むようだけれど、私はこういった賭けにも時には出る。
それが正しいとか間違っているだとか、そんなのはこの際、どうだっていい。
「今は、充くんが本当は優しい子だということ、そして光くんが本当は強い子だということに、＿＿私自身の価値と、プライドを賭けたんだよ。それを口出しされたくは、ないな」
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三峰 契(プロフ) - 琥珀恋歌さん» お返事お待たせしてしまい申し訳ありません…！現在本編に集中する為、スピンオフの方は更新をお休みさせて頂いております。更新再開時にまたパスワードを公開する予定です！ (2021年4月2日 23時) (
レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
琥珀恋歌(プロフ) - スピンオフのパスワード教えてください！ (2021年3月18日 13時) (レス) id: a29e155f14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三峰 契 | 作成日時：2021年2月27日 18時
