episode85 ページ38
「……ハァ？何でそうなるのか、意味分かんねぇ」
「悠馬だったら鬼道先輩をあんな目に遭わせなかった上で、一星充くんを止めることも出来たかも」
そんなことを考えたって、どうしようもない。
なのに一度弱音の零れてしまった口を塞ぐ術を探す気力さえ、起きてくれない。
「だからって、自分が要らねぇなんて言うなよ」
灰崎くんの表情に、苛立ちが色濃く現れる。
そこに油を注ぐことだと分かりながらも、綻びの生じた口は思考を後ろへと追いやるような言葉ばかりを声に変えてしまっていた。
「だって、私は悠馬の代わりだから」
「……ああもう、さっきから悠馬、悠馬ってうるせぇな！」
まだ私の声は続いていた。しかしそれを一気にシャットアウトしてしまうように、灰崎くんはテーブルを強く叩く。
空のボトルが弾かれて、カランカラン、と高い音を立てながら床を転がっていった。
「自分は不在の野坂の代わりだって言うのか、ふざけんな！そんな理由で代表選手っていう少ねぇ枠を潰されてたまるかよ！選ばれなかった奴の気持ちも知らないで……！」
その時、鈍いはずの皮膚感覚が突然生き返ってしまったような心地がした。
肌で感じる程の、燃え上がるような強い怒りだ。
(……ああ、そうか)
きっと、かつてのチームメイトを思い出していたんだろう。
星章学園から選ばれたのは灰崎くんと、強化委員である鬼道先輩のふたり。
キャプテンである彼＿＿水神矢先輩をはじめとした星章イレブンのメンバーは、選手発表のあの日にきっと並々ならない悔しさを覚えていたはず。
選ばれた私がこんなことを言っていたら、灰崎くんだけじゃなくて、代表に選ばれなかった多くの選手達が良く思わないのは当たり前だ。
「そう、だよね」
「……それに試合が始まる前に言っただろ、”全力で取りに来い”って。野坂の代わりとしてのテメェじゃねぇ、A自身に」
＿＿”全力で取りに来いよ、花綺更 A”。
真っ直ぐぶつかってくれた、あの姿。
「……ごめん、灰崎くん」
灰崎くんから貰ってあんなに嬉しかった言葉を、無下にしたくはなくて。
流れ続けていた弱音を塞き止めるようにそう言えば、やれやれと髪をかき上げながら目を逸らされる。
「バカ、謝るくらいならとっとと撤回しやがれ。テメェはこのイナズマジャパンの一員なんだ、胸張ってろよ」
トン、と軽く背中を叩かれた弾みに、胸の奥で
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三峰 契(プロフ) - かなりさん» はじめまして、コメントありがとうございます！のんびりですがこれからも更新頑張りますので、よろしくお願いします！ (2020年3月10日 21時) (
レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 続きが気になり過ぎて待ちどうしいです。これからも頑張ってください。 (2020年3月10日 15時) (レス) id: b69d3c39c6 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭〜すずらん〜(プロフ) - 始めまして。麗乙女のゆううつのパスワードを教えてもらいたいです！ (2020年2月3日 16時) (レス) id: b5347077cc (このIDを非表示/違反報告)
契(プロフ) - 匿名さん» 初めまして。展開は決まっているのですが、野坂さんと花綺更ちゃん、頭脳派という設定の 2名のやりとりをどのようにまとめるかで長く手こずってしまい…！なので体調は万全です！ご心配お掛けして申し訳ありません。これからも楽しんで頂ける作品を目指して頑張ります！ (2019年12月10日 0時) (レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 初めまして。以前から楽しく拝見させていただいております。しばらく更新が無かったので体調を崩されているのかと心配しておりました…。花綺更さんと野坂さんの今後をハラハラかつワクワクと今後も楽しみにしております…！ (2019年12月8日 5時) (レス) id: dfef9e7ff2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三峰 契 | 作成日時：2019年10月6日 8時
