表と裏。Part2【リレー小説】 (ページ42)

今日:8 hit、昨日:2 hit、合計:622 hit

83話　にがいページ42

エルちゃんと一緒にラーちゃんを抱き締め、気付けば辿り着いていた真っ暗な空間。
エルちゃんと手を繋いで進んで行けば、そこはラーちゃんの記憶の中のようで。

進めば進む程、どんどん出てくるクズたちの姿。持ち合わせの爆弾やらなんやら危険物をぶん投げても足りないくらい、腹が立った。

ラーちゃんは何も悪くないのに。

ラーちゃんはいい子なのに。

エルちゃんもおんなじ気持ちみたいで、2人で鬱憤を吐いてまた進む。

どれくらい進んだのか分からないけれど

目の前に見えた小さな人影に近付く。

全部をシャットアウトするみたいに、耳を塞ぐその姿は凄く苦しい。
この感情が何か分からないけれど、僕とエルちゃんがこれだけ苦しいのだから、本人であるラーちゃんはもっともっと苦しいはずだ。

はやく、たすけなきゃ

声を掛けて振り返ったラーちゃんの顔は、僕らから見て左半分が黒くなっていた。
多分闇だ。現実世界で僕らを攻撃して来た闇。

「ぁっ…みな、見ない、でっ！わ、わたし今…！」

「ラーちゃん」

ワタワタと顔を背けて、僕らから離れようと立ち上がる彼女に近付く。
そして、白衣の袖で顔を拭ってみる。

「っ！？し、しあ、んくん、？」

「あっれ〜？取れない…」

「私もやるっ！！」

僕が右頬を、エルちゃんが右腕を、それぞれ袖で闇を拭おうとしてみるけど、取れる気配はない。

「ふた、2人とも、！服、汚れちゃう…！」

「へーきへーき！」

「うんうん！それに、なんかラビちゃんのは綺麗な感じする」

「あっ分かる！！全然汚いとか、気持ち悪いとか、そんな感じしないよね〜」

「そんなわけっないじゃん！！！」

いつも通りの、会話のテンションで、どうにかいつものラーちゃんを取り戻そうと、思っていた。
でも、ダメみたいだ。

僕らの手を振り払って、立ち上がり、数歩後ろに下がってしまう。

「私、すっごい汚いんだよ！？見て来たでしょ！私の過去！！

ずっとずっとダメなの！！私ダメな子なの！！
お父さんもお母さんも私をダメって！学校の子も、家じゃダメって言われてる私を、自慢だって！嫌味な奴だって！！

もう分かんないよ！！私どうしたら良いの！？
頑張ってもお姉ちゃんに追い付けない！そこがダメ！！
その次は自慢！嫌味！出来て当たり前！！そうやって思われて！仲間外れにされて！！」

苦しくて

辛くて

なにがなんだか分からなくて

話が堂々巡りになるくらいに。

悲痛なその声は何も無い空間に響いた。