81話 助けたい ページ40
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＿＿止められるのは、
手足が凍りながらも必死になって声を荒らげるヨミちゃんに、私はハッと我に返った。
「ラビちゃんッッ！！」
助けたい、その一心で私は駆け出す。
今まで目の前で繰り広げていた仲間同士の壮絶な戦い。あの時は「助ける番だ」って言ったけど、いざ目の前にしてみると一歩も動けなかった。
叫びながら見ることしか出来なかった。
でも、後輩が背中を押してくれたんだ。
自分の身を犠牲にしてでも、ラビちゃんと話す時間を稼いでくれているんだ…！
「エルちゃん！！」
私を呼ぶ声が聞こえて後ろを振り返ると、そこにはこちらに向かって走ってくるしーちゃんが。
「僕も……ラーちゃんを助けたい！」
「勿論！一緒に行こう！」
隣に来たしーちゃんと一緒に、私達二人は並んでラビちゃんの元まで走り出した。
同じスピードで走り、同じ歩幅で走り、同じ息遣いで走り、同じ想いを持ちながら走る。
ただ、ラビちゃんの目の前に来た時にはもう、ラビちゃんとヨミちゃんの体を覆う巨大な氷にヒビが入っていた。
「「ラビちゃん！！／ラーちゃん！！」」
片手で抱き着くヨミちゃんを感情の籠っていない表情で見てたラビちゃんの瞳がこちらを向く。
「……ッ！」
ただひたすら黒くて、底が見えない。
ラビちゃんが纏うオーラや暗い雰囲気もあってなのか、気を抜いたらこっちが飲まれそう。
それでも私にはやる事がある。
「ラビちゃん！助けに来たよ！」
「一緒に話をしよう？！ラーちゃん！」
戦うつもりはない、だから話をしよう、と必死に呼びかける。それでもラビちゃんの表情は変わらないし、うんともすんとも言わない。
こういう時、ヒジリはどうしてくれたっけ…。
自分が闇堕ちした時のことを思い出していると、ラビちゃんの体が震えるように動き、かと思いきやヨミちゃんを覆う氷ごとガラスのように壊した。
それと同時に、ラビちゃんは拘束するように強く抱きしめるヨミちゃんを強引に離すように黒い玉を放つ。
「きゃあっ！！」
「ヨミちゃん！」
「危ない！！」
弧を描くように飛ばされるヨミちゃん。
そこへ全力疾走してきたノアールがお姫様抱っこするようにヨミちゃんを受け止めた。
「ノエル！俺達のことは構わず行け！！」
「ノアール……うん！」
後のことはヒジリ達に任せよう。
皆に託された分の想いも込めて、私としーちゃんはそっとラビちゃんを抱きしめた。
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作者名：YSP裏クラブ一同 x他2人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2022年8月17日 18時
