73話 闇に咲く月下美人 ページ32
「シア………にぃ？」
「あ
私が姉さんだからバディのシアンが兄さんなのね。」
「ん。」
「あ、リンさん。こんにちは」
「あ、ハナちゃん！こっちおいで。今名前決めてて。」
「何のですか？」
「え、皆の。」
「姉さん、誤解生む。」
白のきれいな髪を靡かせて現れた少女に微笑んだ。
ハナちゃんとミナホと屋上でのんびり。
途中までハテナマークだったハナちゃんも次第にわかったらしく今は案を出してくれている。
何気ない、本当に何気ない会話。
でも、それは
「「！！」」
「姉さん。」「分かってる。っ！！？」
「リンさんっ！！！」
「ハナ！止まって！！
闇、飲まれる！！」
黒い霧で、シャットアウトされた。
この、霧………念だ。
黒くて、薄暗くて、静かで。
寂しい。
こういうのは、ヨミねぇじゃないから心分かるわけじゃないし詳しく理解できないんだけどなぁ。
ただ、分かるのは凄く濃い闇だということ。
そして、それに前の戦いで黒くなった部分が反応してること。
この中で変身したら、私は駄目だ。
ただでさえ、むせ返るようなのに。
「ケホっ、ごほっ、リンさんっ！！」
「ハナちゃんっ！？」
どうやら助けに来てくれたらしい。
でも、駄目だ。
「来ちゃだめっ！！！！」
叫んだ瞬間、広がった闇は一斉にハナちゃんの方へ飛んでいった。
「っ！妖術・壱弦！水煙っ！！」
ぐるりと回すようにオパールを投げ闇を相殺する。
オパールから出た煙が闇を包んだかのように思えた。
「っ！？」
「キャアっ！！」
「ハナッ！！！！！」
隙間を通って出ていった闇は彼女の中に入った。
っウソ………。どうしよう。
ハナちゃんは闇に人一倍弱い。
ドサリと倒れた彼女を抱え、私は妖術を使う。
ズキンと腕が痛み抑えるも使用すればするほど
その痛みは加速するばかりだった。
「ウッ………。」
「姉さん！！」
「だい、じょぶ。それよりも、ハナちゃんを。」
ふわりと光らせたオパールは青から緑へと反射の仕方が変わった。
「月の泉よ。我が愛子に癒やしを与えよ。」
ふわりと広がる月下美人の中でハナちゃんは静かに息をする。先程のダメージを取り除くには
もっと、心のなかに入らなきゃ………。
「ミナホ、頼める？」
「………任せて。」
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作者名：YSP裏クラブ一同 x他2人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2022年8月17日 18時
