70話 魔槍ノエルと帰国子女 ページ29
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あの憎きYSPクラブと衝突してから数日後。
その日を機に、このクラブのお母さん的存在であるエルコママがY学園に帰ってきたり、1年生のミナホちゃんという子が新しいメンバーの一員として迎え入れられた。
それは私達にとって凄く嬉しいこと。
嬉しいこと、なんだけど……。
ただ、一つだけ気がかりなことがある。
「最近、ラビちゃんと会ってないな……」
優しく頬を撫でるような風を感じながら、私一人しかいない波止場でボソッと呟いた。
ラビちゃんを最後に見たのは2日前。
体調が優れないから先に帰る、とだけ言って一人で寮に帰ってもらったんだけど……やっぱり付き添うべきだったかな……。
お見舞いに行こうかなと思ったことは何度かあった。でも、体調悪い時に部屋凸っても更に悪化させるだけかなと思って遠慮してたんだっけ。
「ア"ァ"ーー！！もう悩んでても仕方ない！しっかりしろ、ノエル！大切な親友が寝込んでるんでしょ！？だったらやるべきことは一つ！！」
自分に言い聞かせるように大声を上げ、目を覚ますように乾いた音を立てながら頬を叩く。
波止場での用事が終わったら、さっさと宿舎に向かおう。そしてラビちゃんの看病をしよう。
誓うように決めた時、沖の方から黒い物体がこちらに向かってくる。
スマホの電源をつけて時間を見ると……うん、メールで話した通り時間ピッタリだ。
「約一年ぶりだな。アイツと会えるの」
何処からともなく現れたノアール。
徐々に波止場に近付く黒い物体がフェリーだと認識すると、どこか嬉しそうな笑みを見せた。
「やっとノエルの世話係から解放されるって感じか。一年間大変だったなー…」
「ところがどっこい！残念でした〜！友達が帰ってこようがなんだろうが、ノアールは一生私の世話係ですぅ〜」
「へー、ちなみに時給は？」
「何当たり前のこと言ってんの。0円だよ」
コントみたいな言い合いをしているうちに、黒を主張とした大きなフェリーが波止場前に止まった。
船の扉が開いた瞬間、私は目の前にいた人物に向かって勢いよく飛びつき、強く抱きしめる。
「ちょ、痛い！痛いってノエル！」
「会いたかった…！ずっとこの日を待ってた！」
「うん……私もだよ」
嬉し涙を流す私の背中を少女が優しく擦る。
何処も変わらない姿に安心しながら離れると、お互いあの頃のような無邪気な笑顔を見せた。
「ただいま、ノエル！」
「おかえりなさい！＿＿＿＿ヒジリ！！」
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71話 黒光ヒジリの感覚→←69話 望月ラビの闇/Chiffon
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作者名：YSP裏クラブ一同 x他2人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2022年8月17日 18時
