表と裏。Part2【リレー小説】 (ページ2)

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43話影縫クルミの不安と変化/Chiffon ページ2

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《Teddy！Judge！》

『ほらほらぁ、早く立たないとー…当たっちゃうよ？…ま、いっか！

＿＿＿ベアーズクロー★』

幼稚園児のような高く、狂った声が響く。

ザシュッ…

クマの爪が黒い塊を貫いた。

「ヴオオォォォォォォオオオオ！！！」

断末魔と共に散る怨霊。

戦いが嘘だったかのように静寂が訪れる。

唯一そこに残ったのは、先程の爪の主。

光に包まれ、本来の姿に戻る。

妖怪裏HERO"マリオネール"から影縫クルミに戻ったのだ。

『…ふぅ』

ため息ひとつ。

今日もまた、学園に現れた怨霊をひっそりと1人で狩っていたのだ。

といっても、自ら狩っている訳ではなく、たまたま襲われたので倒しただけだ。

そんなクルミには悩みがある。

『(…最近、変身すると痛い………)』

自覚はあったが、気のせいだと思うようにしていた。

…が、先程の戦いで確信した。

自身の体に間違いなく変化が起きていることを。

早歩きで寮の部屋に戻り、かちゃりと扉の鍵を閉める。

部屋に置いている姿見の前に立ち、深呼吸。

『…変身』

試しにもう一度変身してみる。

『キャハッ★遊びましょ…って痛ァ！？』

光と共に現れたマリオネールの右肩辺りに、激痛が走る。

恐る恐る姿見を見ると、有り得ないものが写っていた。

姿見に写るマリオネールの右肩にあったのは……

大きな、ツギハギだった。

再び光に包まれ、元の姿に戻る。

『う、嘘…何、今の…………』

痛みは変身する度に増している。

変身する度にアレが増えてるってこと？

自分の中を不安が支配するのが分かる。

このままもっと広がっていったら。

痛くて戦えない、なんてことになったら。

『これじゃ…縫いぐるみにすら………』

そう呟いて、我に返る。

思い出すのは、こんな自分にかけてくれた言葉。

___"『好きだから役に立ちたい』それだけで十分。別に"縫いぐるみ"なんかにならなくていい"

『ルコ……ごめん、もう忘れちゃってたんだね』

しばらくは、変身しないでおこう…エルゼメキア様にも、分かってもらえるかな＿＿＿

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