表と裏。【リレー小説】 (ページ39)

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38話　霞ヶ浦シアンはもう1つ渡したいページ39

「ふふんっ味わいながら食べなよね？」

「はいはい」

「それで…その子だぁれ？」

目を向ければもっと目線をきつくする

ちょっと怖いんだけど……あ、目元が赤いの気になる

プリンと一緒に入っていた保冷剤を取り出して、その子に近づく

「ねーね」

「なんだ愚民」

「ちょ、何この失礼な子」

「愚民に愚民と言って何が悪い」

「愚かじゃないし、僕結構お金持ちだから庶民でもないし」

「一国の王女に何を言っている。その辺の人間など全員愚民でいいのだ」

王女ちゃん？はツーンとした感じにそっぽを向く

ていうか

「王女！？王女なの！？そんな人種初めて会った！！あ、でも誰だっけ、うちの学校のエマちゃん？エマお嬢様？もお金持ちだし……あぁでも王女様はやっぱりいない！！じゃあ初めてで合ってるね！！うわ～初めてだぁ～！えーやっぱりご飯は豪華？お家も豪華？広い？執事とか召使いはいるのかな？出かける時はＳＰとか護衛とかいるの？実は自分だけでも強かったり？？あ、もしかして君も能力者なの？怨霊見える？変身も出来るの？どんな怨霊？変身後はどんな姿？あぁそれから……」

「シアンストップだ」

「メザちゃん困っちゃうよ」

「私がこんな事如きで困るわけがないだろう馬鹿にするな」

「じゃあ私たちが話す量について行けないからストップしてね」

「むぅ～…」

「シアン、ヨミが起きたばかりなの分かってるだろう？」

「…はぁい……」

話の腰を折られて、手に持っていた保冷剤に気付く

「あ、これはい」

「なんだこれは。どういうつもりだ」

「だって目のとこ赤くなってるから」

「愚民からの施しなど要らん」

「でも～」

「要らんと言ったら要らん」

保冷剤1つを渡すのにも苦労していると

「メザちゃん、私メザちゃんの目元が赤くなってるより、いつも通り白い方がいいなぁ」

「っ……」

「じゃあシアンくん。一回私に頂戴？」

「え？はーい」

大人しくミィちゃんに渡すと、受け取ってすぐにおーじょちゃんの方に体を向けて

「はいメザちゃん、顔寄せて？私が冷やしてあげるから」

「い、要らん！」

「だってメザちゃん自分でやってくれないんでしょ？だったら私がやるから、ほら」

「だからっいい！も…自分でやるから貸せ！！」

「はいどーぞ」

満面の笑みで保冷剤を差し出すミィちゃんと、しかめっ面で目元を冷やすおーじょちゃん

今度からおーじょちゃんに何かする時は、ミィちゃんを経由しようと思った