表と裏。【リレー小説】 (ページ26)

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25話　龍川ハクヤはやはり知りたい。ページ26

「それで、執事はエーデルを探しに来たんだろう？

なら、もう行って大丈夫だ。」
「その呼び方はやめろ。」
「嫌だ。教えてくれないのならこう呼ぶしかない。」
「………もういい、好きにしろ。」

その言葉に頷いてから、執事の方を向けば
執事は少し目を開いていた。

本当に少しだが。

「どうしたんだ？なにかあったか？」
「いえ、なんでもありません。

そして、私の用はそれだけではありませんよ。」

そう言われ、執事の手を見れば
資料と、USBが乗っていた。

先程まで乗っていなかったような気がするのだが………？

「この中には、情報が入っています。
どのような内容かはご自分でご確認ください。」

その言葉だけで、先程の思考は半分飛んだ。
エーデルのことは残っているが。

「なぜ、味方のようなことをする。
お前は、何がしたい。
エーデルも、だ。」

そう言えば、執事は淡々と告げていく。

「私達は、あくまで中立的な立場です。
敵でも、味方でもありません。」

中立、か。

「なら、敵ではない。ということだな。

つまり、戦わなくていいんだな。」

良かった。それなら、いい。

「なぜ、そんな安心したような顔を………？」

かお？

執事が、こちらへ問うまで気づかなかった。

そうか、俺は安心してたんだな。

「俺は、お前たちを知りたい。
エーデルも執事も

中立なら対立しなくていいだろう？

もしかしたら、分かり合える…………とまではいかないが。

少しは、知れるかもだろ？」

思ったことを伝えただけなのだが

執事はこちらから目を離さないし
エーデルはそっぽを向いてしまって分からない。

？？なぜなんだ？

ただ、そっぽを向いたのなら嫌なことがあったのかもしれないな。

そう思ったのもつかの間

「…………。」ﾋﾟｼｬﾝ

エーデルは黙って弓道場から出てしまった。

「御嬢様、はぁ…………。また探さなくては。」
「大変そうだな………。」

そう言うと、こちらに視線を移し

執事は、少ししたら目線を戻した。

俺に興味はないのだろうか。

でも、俺は興味がある。

だから

「また、会おうな。執事。エーデルにも伝えてくれ。」

そう言えば、執事は一度視線を向け

一礼して去っていった。

また、会えるのだろうか。

可能性は少ないが

「向き合いたいと、思ってしまうな。」

さあ、気を取り直して資料に目を通すか。