俺とカレカノごっこしよ【黒】

16.このオーディションに合格したら君に… ページ17

「Aが彼女になってくれたから仕事もうまくいって、夢叶うし、マジで最高すぎるっしょ」
「目黒さんの努力の賜物ですよ」

私は関係ないです。

だってごっこを初めてまだ半月…と言えば目黒さんは
「その前から俺のマネージャーでしょ？」
それが彼女になってくれたから余計頑張れてるし、感謝してる。
と真面目な顔で言うからマネージャー冥利に尽きる。と思うけれど私は目黒さんのおうちで目黒さんの腕の中。

いいのか！？だめすぎない！？と思うけれど

目黒さんが頑張れる魔法だと言うのだ。





「これからめっちゃ忙しくなるじゃん、俺きっと頑張れるから」

充電していい？と言われて帰りに目黒さんの家に寄った。



モコが嬉しそうに出迎えてくれて私が抱き上げれば
目黒さんがモコを私の腕から奪って俺がAを先に抱きしめたかったのにと笑った。

明日から目黒さんは映画のオーディションに向けて原作を読み込んだり監督の映画を予習したりとプライベートも忙しくなる。

普通のオーディションの知らせはもっと早く届いて準備期間があるのに、今回はかなり急だ。


キャスト変更があったのかもしれない。
でも目黒さんにはチャンスだ。



「今日この話聞いた瞬間、Aを抱きしめたくてしょうがなかったから」
やーっと抱きしめられた。とぎゅっと私を包み込んで頭上から声がする。

目黒さんの香りは香水とかじゃなくて、優しい目黒さんの香りがする。

目黒さんの腕の中にいると心の奥がじんわりと温かくなって安心する。

頬が目黒さんの胸板に当たってトクントクンと心臓の音がする。

愛おしい、と感じてしまって苦しくなる…。

「もういいですか？」
「まだダメ」
目黒さんの声が悪戯に笑って、腕に力を入れて
「あー！ずっとこの幸せな時間が続けばいいのになぁ」
と天井を見上げてまるで心から呟くようにそう言った。



私だって、この時間が永遠ならどれだけ幸せだろうなんて思ってしまう。
思考回路がバグり始めている気がする。



「もしさぁ、オーディションに合格したら願い事一つだけ叶えてくれないかな」
ご褒美あったら頑張れる。と目黒さんが言って

そっと体を離して目をじっと見る。

「無理な願いじゃなければ」
「無理じゃないやつ」

俺、頑張るから。と。




オーディションの合否は…

ちょうどカレカノごっこの1ヶ月の期限だ。



「あとさ、蓮、っていい加減呼ぼう？」

「…れん…」




(このオーディションに合格したら君に…)

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