眠れぬ夜に君の声【黒】

27.わからないです、目黒さん ページ32

「あざっした」



渡辺さんがどーも、とカメラマンさんと握手をして

恥ずかしそうに他スタッフの皆さんに会釈をして挨拶をして撮影が終わり



楽屋で着替えを終えた渡辺さんから衣装を受け取って


買取はどれがいいのか聞いてチェックをして

こんな服着てみたいからオススメありますか？と渡辺さんから質問されたので少しだけ雑談をしていれば

また話題が共通の知り合いである目黒さんの話題になってくる。


「今日これから事務所戻ってメンバーと動画撮影あって、目黒にも会うんっすよ」

って。


目黒さん、本当に私との事何も言ってないよね！？なんかまるで目黒さんの話題を私が喜ぶと思っているのかわざと言ってない？！


ドキドキするんですが！


「みなさんお忙しそうですよね〜」

ご活躍、拝見してます。と微笑めば


「目黒が一番マジで忙しいから睡眠時間とか前までまったく無くて現場で死んでました」


グループの皆さんの話題にしたかったのにまた目黒さんの話題に戻ってしまった！！！


「私も不眠症なので、目黒さんの不眠の辛さ悩みわかります」


渡辺さんはちゃんと眠れますか？と


また渡辺さんに話題を振ったつもりだった。



でも渡辺さんからのお返事は

渡辺さんの話題ではなくて


「えっ、めめ、めっちゃ快眠じゃないっすか？あいつすぐ現場でも移動でも器用に寝れるタイプだから、忙しい時とかソファーに転がってすぐ寝ちゃっいますよ？！」


って



え？




「あれ？目黒さんって…不眠症じゃ」



「え？そんな話聞いたことないっすね…」




不思議そうに渡辺さんが首を傾げて



マネージャーさんがそろそろ行きましょうか、と声をかけて


「じゃ、またお願いします」

と渡辺さんが握手をして出て行った。




私は片付けていた手が止まったまま




え？


目黒さんが快眠？



嘘だ、



目黒さんは私と同じ不眠症で…



私と寝る時だけ久しぶりに眠れたって笑顔で…



え？



目黒さんは嘘をつかない人だと…



でも何のためにそんな嘘…



「まぁ全部大切な仕事だから添い寝してもらってちゃんと寝たいっていうのは本音を言えば毎日だから嘘じゃないけど、Aさんに今日会いたかったからついた嘘、になるのかな？でも本当は嘘なんかつきたくないし、嘘は嫌いなんだけど…Aさんはもし俺が嘘ついても許してくれる？」


目黒さんが前に私に言った言葉を思い出す。





目黒さんが嘘をついた…？


何が本当かわからないよ目黒さん…

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