眠れぬ夜に君の声【黒】

24.疲れすぎて脳内がバグったかもしれない ページ29

疲れすぎて会いたすぎて恋しすぎてタクシーに乗り込んで

タクシーで冷静になっていく。




やっぱりこんな時間に非常識だし、申し訳ないんじゃないかと。





でも毎回そう思っても目黒さんは待っていてくれて優しい声で「おかえりなさい」と出迎えてくれる。

今回は会いたい、という自分の気持ちに素直になって

いつものような“やっぱりご迷惑なので行くのをやめます”とか、連絡はせず


“今タクシーで向かってます。大丈夫ですか？”

とだけ聞けば

即既読がついて

大丈夫だよ、だから急がなくていいから気をつけて。待ってるから。と返事が来た。



タクシーを降りて、会いたくて足が早る。



エントランスでインターフォンを鳴らすだけで開けてくれて、そのままエレベーターに乗って

目黒さんの家の階に着いたら、ドアが少しだけ開いていて目黒さんが玄関に立って様子を伺っていて

私は小走りで向かえば


ドアが大きく開いて笑顔で出迎えてくれて


「おかえりAさん、おつかれさま」


って両手を広げてくれて





思わずその腕の中に飛び込んでしまった。






あぁ、会いたかった。


目黒さんに会いたかった！





目を閉じて目黒さんの香りに包まれて心の奥から幸せが込み上げる。






ぎゅっと腕を回して、思っていたよりも逞しい胸板に



痩せている人だとは思っていたけれど男らしく感じて心臓がうるさくて



目黒さんを見上げれば




目黒さんが笑顔で私の髪を撫でて、頬に大きな手が降りてきて





顔が近くなってくるから





心臓が爆発しそうになって我に返った。








私は何してるんだ！！！！！









会いたすぎて抱きついてしまって…





はっっっっず！！！！！！






お酒飲んでいたわけじゃないのに、疲れすぎて脳内がバグった！！？？？




がばっと目黒さんから離れて





「す、すみません！！疲れすぎて癒されたくておかしな行動しちゃって！！」

「Aさん頑張ってるもんね、疲れて俺で癒せるならいくらでも使っていいし」


そう言ってまた両手を広げる目黒さんに

…甘えさせてください

と素直に胸板に体を委ねたら、目黒さんが優しい声で

「いいこいいこ」

って子供みたいに頭を撫でてくれた。




はぁ、なんて落ち着くんだろう。

くっついているだけで幸せで、もう眠くなってきた。




「ありがとうございます。充電できました」


そう会釈して離れれば


「今夜の添い寝さぁ…こうやって寝てみる？」


！？！

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