眠れぬ夜に君の声【黒】

22.あと何回太郎シリーズ聞けますか？ ページ22

軽く食事とお酒を楽しんだ後


目黒さんが用意してくれてたケーキをいただいて



そろそろ寝る準備しよっか。と言われて


気持ちを自覚している分、妙にまた緊張する。




好きな人が添い寝してくれるって、どんな幸せな状況なんだ！？



贅沢なその時間に眠りたくないのに


手を繋いで横になれば


「Aさん、もう眠そう」

と目黒さんが優しい囁くような小さな声で

繋いでいない方の手で私の髪をそっと撫でて微笑むから


その大きな手が髪に触れただけでビクッと一瞬こわばって反応してしまって

せっかくの眠気がどこかに飛んで行って


顔も赤くなっちゃったし、目黒さんがあまりにじっと見つめてくるから

目も見れなくて

「…早く寝ましょう」

と毛布を被った。





毛布を被っても、片手はずっと繋がれていて



目黒さんの話し始めた三年寝太郎に


また太郎シリーズ…と思いながらも


優しい声と

暖かい毛布と

大きな手の温もりですぐに眠ってしまった。





ドキドキして眠れないかと思ったのに





目黒さんの優しく低い声は魔法の声だ。









明け方、夢の中と現実との間で

目黒さんが優しくまた私の髪を撫でてくれている気がした。




「Aさん、ありがと。大好きだよ」


どんな夢だったかは覚えていないけれど

ありがとうとか、大好きとか

ごめんね？とか。

謝られた意味はわからないけれど



とにかく都合のいい夢らしい言葉を聞いた気がして


ニンマリ笑って涎を垂らして起きた。


目黒さんに見られたら大変だ。

恋なんか叶うわけもないじゃないか。




まぁ、変な寝顔を見られなくても叶うわけはないのだけれど。






目を開けてベッドに目黒さんがいないことに気がついて

涎を見られなくてよかった、と思ったのと同時に

先に起きているのかと部屋を見渡して

リビングの音も何もしないから

静かにリビングを覗けば




誰もいない。





テーブルには目黒さんが書いたと思われるメモがあって


“おはようAさん。早朝ロケが入ってるから起こさないで寝てる間に出ていくね。朝ごはんも食べて行ってくれたら嬉しい。あと今夜もAさんがここに帰ってきてくれたりする？”


って。


このメモ、一生大事にラミネートして持っていてもいいですか！！？？

添い寝友達以上の感情を持たない方がおかしい！！恋しないわけないじゃん！！！

好きになるに決まってる！！！！



…もうどうしようもなく、私は目黒さんが好きだ。

番外編：眠れぬクリスマスに君の声1→←21.もし俺が嘘ついても許してくれる？

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