眠れぬ夜に君の声【黒】

21.もし俺が嘘ついても許してくれる？ ページ21

祝ってもらえる理由がわからなくて戸惑う私に笑って

「この間、撮影現場で聞いたんだ。ちょうどAさんを教えてた先輩がスタイリングで入ってくださってて、Aさんの一人でのスタイリストデビューが結構大きな仕事で緊張して相談があった事とか話を聞いてたら、ちょうどそれが数年前の今日だったってわかって。もし会えるならお祝いしたいなって。Aさんの大切な日」

おめでとう。とテーブルの花束を手にとって渡してくれて

その姿があまりにもスマートで映画の中から出てきたような目黒さんの行動に

見惚れるしかなくて

口も開けっぱなしだし、たぶん相当間抜けヅラをしていたと思う。



映画の主人公目黒さんとモブすぎる私の差が辛い！！！！



そして自分ですら忘れていた今日を、目黒さんが祝ってくれるという…

本当になんて優しい人なんだ！！！

彼女になる人はどんな幸せな人なんだろうと驚く。


そして添い寝友達なだけで、友達にまでそこまでしてくれる目黒さんの心の広さ！！



「ありがとうございます…驚きすぎて…」

「絶対サプライズしたいって思ったからさぁ。喜んでもらえてよかった」

俺、少し作ったから食べてくれる？って椅子を引いてエスコートしてくれて



「…目黒さんってすごいですね」


座った瞬間、思わず目黒さんを見上げて感嘆の声が漏れてしまった。



「え？何も凄くないし」

目黒さんはそう言って微笑んで隣に座って

グラスに飲み物を注いでくれて

「自分がやりたい事をしてるだけだから」

逆に俺のやりたい事を受け入れてくれてありがとうAさん。ってグラスを鳴らした。



本当に映画の中の主人公とか二次創作の人間じゃないだろうか！！！



「…あれ？！もしかして明日大切な仕事っていうの嘘でしたか！？」

「まぁ全部大切な仕事だから添い寝してもらってちゃんと寝たいっていうのは本音を言えば毎日だから嘘じゃないけど、Aさんに今日会いたかったからついた嘘、になるのかな？でも本当は嘘なんかつきたくないし、嘘は嫌いなんだけど…Aさんはもし俺が嘘ついても許してくれる？」

急に真面目な顔で“嘘”について語る目黒さんに

「許す、と思います」

私も嘘は嫌いなんですが、今日の嘘も私のために言ってくれた嘘なので。

と笑って返した。



初めてもらった目黒さんからの花束は、絶対に綺麗にドライフラワーにして永久保存したい！！



こんに好きな気持ちが溢れそうで、私は添い寝できるのか…な！？

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