眠れぬ夜に君の声【黒】

13.太郎祭り！？ ページ13

手が温かくて、緑茶で体も温かくなって

目黒さんの声と、この部屋の香りが心地よくて眠くなってきて

目黒さんが私のそんな様子を見て

「そろそろ寝る準備しよっか」

と顔を覗き込んで微笑んだ。


「お風呂も洗面台も使っていいから。Aさんには俺を助けてもらってるからちゃんとくつろいで欲しいし、せっかく添い寝するならAさんにもしっかり寝て欲しいし」

体温めてから寝よっか。

と手を繋いだまま私をお風呂場に案内してくれて

繋がれたままの手に戸惑えば

「こうでもしなきゃ、遠慮しちゃうでしょ？」

ね？と私を見て微笑んだ。


「来客用のタオルと歯ブラシ、シャンプーとか洗顔メイク落としもこれ使っていいから」

って。


事務所に置いていた歯ブラシとか持ってきたものの

新しい歯ブラシを開けてくれたのでそれを使う事にした。


「着替え、よかったらこれ使って？」

「一応事務所に寝泊まりセットあったので持ってはきたので！」

大丈夫です、と断れば



目黒さんの眉毛が下がった！！！



口もへの字口！！！



悲しそうな顔！！！！




「じゃあ…借りてもいいですか？」

「もちろん！」


にっこり笑ったあと、意味ありげに笑うから

なんか演技力というか策略にハマった気がした。



お泊まりも緊張するけれど、人様の風呂場というものはもっと緊張する。

できれば入りたく無い。

でもベッドに寝かせていただくから、汚い女は嫌だよね！！とは思う。

お湯貯めてくださっていて入らないと失礼なのかな…。

なんだろ、入浴剤もめっちゃいい香りがする…！

というか、ボディーソープも全てが目黒さんの香りがする！！



ただ添い寝するだけなのに、まるで恋人のような錯覚に陥るのはお風呂のせい。



湯船でのぼせるぐらい考えてしまって

「大丈夫ですか？」とノックをして目黒さんの声がして慌てて出る事にした。

そしてお風呂場を軽く掃除して入念にチェックして出た。



「めっちゃAさん真っ赤じゃん！！ゆでタコみたい」

「はいりすぎちゃいました…ごめんなさい睡眠時間短くなっちゃいましたよね…大丈夫ですか？」

「大事な仕事があるってだけで、朝早いわけじゃないから。Aさん朝仕事は？」

「そこまで早くは…。事務所に行って返却回るので10時までに戻れれば」

「じゃあちょっとゆっくり眠れそうだね」


Aさんが風呂入ってる間に、金太郎と浦島太郎覚えたから聞かせてあげるね。




太郎祭りですか？？！！！

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