12.自然と繋がれた手をそのままに ページ12
「もしもし、目黒です。お疲れさまでした」
「あ、えっ、お疲れ様でした!」
さっきまで仕事として接していた目黒さんの声がスマホから直接耳に届く。
あぁ、やっぱりいい声だなぁ。
優しく柔らかい。
仕事中は気を張っていたし、添い寝もしてもらったばかりだから眠気は襲ってこなかったけれど
こうして大きな仕事が終わった瞬間に、この声を聞いたらホッとして眠たくなる。
「Aさんまだ仕事ありますか?」
「あー、借りていた衣装の返却が…」
時計を見ればもう遅くて
「もうこんな時間なので返却は明日の朝、ですね。今日はもう事務所に寄って衣装を置いたら帰ります」
「じゃあ、俺、家で待ってるんで来ませんか?添い寝、だめですか?」
「え!?」
そりゃ2日に一回快眠だったらどれだけ幸せかとも思うけれど…目黒さんに迷惑じゃないかと即答できなければ
「俺、明日大切な仕事があってどうしてもしっかり寝ておきたくて、Aさんには申し訳ないのですがお願いしたいんです…」
目黒さんにそう言われて断れるわけがない!
「大丈夫ですよ!困った時はお互い様ですから!私も眠れたら嬉しいので!」
そう言って荷物を事務所に置いて
事務所にあったお泊まりセットを持って目黒さんの家に向かう事になった。
「おじゃま…します」
モコちゃん、こんばんは。と目黒さんの腕の中のモコちゃんにも挨拶をすれば
私の手をクンクンと匂ってからぺろぺろと舐めて歓迎をしてくれて、目黒さんが「いらっしゃい」と笑った。
「先ほどはお疲れ様でした」
事務所に今日差し入れでどら焼きいただいたので、よければ。と目黒さんにどら焼きを差し出せば
「どら焼き俺、めっちゃ好きです。ありがとうございます。てか、気を使わなくても…俺がお願いしたんだから」
目黒さんの敬語が少しづつ無くなっていく。
「少しだけ、添い寝前にテレビ見ながらどら焼きたべよっか」
目黒さんが緑茶を淹れてくれると言って
私は頷いた。
添い寝してもらったばかりだったから、目黒さんの声を聞いても即眠たくなるわけじゃなく
今日はちょっと余裕がある。
なんか不思議な感覚だ。
二人で並んで、間にモコちゃんを座らせて
どら焼きを食べながら目黒さんおすすめの動画をテレビで見て、笑い合う。
優しく温かい時間が心地よくて
まだ添い寝の時間じゃないのに
そっと繋がれた手があまりに自然で、そのまま私たちはテレビを見たんだ。
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みか - お疲れ様でした! (2月25日 20時) (レス) id: 11e98131e9 (このIDを非表示/違反報告)
さおりん(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます。気がつけばふわっと終わってる〜!ハッピーエンドだからいいけども!目黒くんの話し声で寝たい人生でした。ありがとうございました。 (2月24日 17時) (レス) id: b19d2edb84 (このIDを非表示/違反報告)
chako(プロフ) - みかさん» みかさんこんばんは!嬉しいお言葉ありがとうございます!お言葉もらえただけで励みになります!! (2月15日 23時) (レス) id: 4bcc778cb3 (このIDを非表示/違反報告)
みか - 気になる展開になってきた (2月12日 16時) (レス) id: 11e98131e9 (このIDを非表示/違反報告)
chako(プロフ) - 游さん» 游さんこんばんは。いつもありがとうございます!修正しました! (2月10日 23時) (レス) id: 4bcc778cb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chako | 作成日時:2023年10月30日 20時