11.仕事に対する姿勢をはじめて見た日 ページ11
ピピピピ…カシャっとスタジオに鳴るシャッターの音とカメラマンの声。
その中心には目黒さんがいて、他スタッフは撮影を見守る。
「Aちゃん、目黒くんのページは初めてだっけ？」
メイクさんが隣で撮影を眺めながら私に小声で話しかけてくれた。
「初めてです」
「目黒くん、素材いいよね〜。あれで歌もうまいし演技もできて天狗になってもいいぐらいなのに、真面目で仕事に手を抜かないからスタッフの評判もいいし」
「すごいですね…。私も気合い入ります」
「目黒くん優しいから好きにならないように気をつけないと」
「当たり前じゃないですかーそんな不毛な恋してる暇ないですよ」
「確かに」
笑い合ったけど、本当にそれ。
危ない。
気合いを別の意味でも入れなければいけない。
お互いの利害が一致しただけの添い寝友達で、今は仕事で、私なんかが恋をしても届かない彼は有名人なのだ。
不毛な恋をしたくもないし、する暇もない。
「はい、次のカットおねがいします！」
その声で目黒さんの上着を預かりながら一緒に楽屋まで歩き
次の衣装に着替えてもらう。
「ちょっと後ろ、つまみますね」
痩せ型の目黒さんには大きすぎるのでカメラに映らない背中の部分を洗濯バサミでちょっと摘んで前からまた見てバランスを確認した。
「大丈夫です。お願いします」
と目黒さんを見上げれば真面目な顔で頷いて「ありがとうございます」と。
あ、もう撮影が始まって目黒さんは仕事だけを見ているんだ。と思えた。
私の雑念がバカみたいで、恥ずかしくなった。
距離感なんか、仕事の距離感でしかなくて
最初の会話は私の緊張をあくまでもほぐしてくれただけだったのかもしれない。
私も目黒さんの真っ直ぐで大きな背中についてスタジオに歩きながら、気合いを入れ直した。
撮影風景を見ていても、目黒さんはモデルとして、被写体としての仕事に手を抜かない。
求められた事を必死でこなし、見せ方を考え、納得できるまで仕事をする。
スタッフにも謙虚で低姿勢。
好感度も高い。
目黒さんの仕事に対する姿勢を見て、私もそうでありたいと思うし、1日一緒に仕事をしただけで刺激を受けたし尊敬できる存在となった。
「お疲れ様でしたー！！！」
深夜になって全カット撮影を終えて解散となった。
私は借りていた衣装を片付けて車に乗せて運転席に乗り込めば
スマホが鳴った。
そこには添い寝友達の名前が表示されていた。
12.自然と繋がれた手をそのままに→←10.仕事と添い寝の距離感
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みか - お疲れ様でした！ (2月25日 20時) (
レス) id: 11e98131e9 (このIDを非表示/違反報告)
さおりん(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます。気がつけばふわっと終わってる〜！ハッピーエンドだからいいけども！目黒くんの話し声で寝たい人生でした。ありがとうございました。 (2月24日 17時) (レス) id: b19d2edb84 (このIDを非表示/違反報告)
chako(プロフ) - みかさん» みかさんこんばんは！嬉しいお言葉ありがとうございます！お言葉もらえただけで励みになります！！ (2月15日 23時) (レス) id: 4bcc778cb3 (このIDを非表示/違反報告)
みか - 気になる展開になってきた (2月12日 16時) (レス) id: 11e98131e9 (このIDを非表示/違反報告)
chako(プロフ) - 游さん» 游さんこんばんは。いつもありがとうございます！修正しました！ (2月10日 23時) (レス) id: 4bcc778cb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chako
| 作成日時：2023年10月30日 20時
