桜色の薔薇は永遠に【紫×緑】 (ページ40)

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黄

泣き疲れて眠った大毅は、
コアラみたく俺にしがみついてる。
究極に可愛いけど、俺も動きたいから
そっと腕を剥がしてソファーに下ろした。
風邪ひかんよう毛布をかけてやって、
俺は携帯を手に取る。

大毅おるからって一瞬遠慮したけど、
多分こいつにも俺が必要や。

黄「もしもし。」
橙「もしもし、淳太くん？どないしたん？」
黄「早めに伝えた方がええかなって思て。」

電話の向こうにいつもの相方。
伝えたれって言う俺もおるけど、
言いたないっちゅう俺もおる。

黄「濱田先生と神ちゃん、多分くっついた。」

携帯を当てた反対側の耳からだけ、
大毅の穏やかな寝息が聞こえる。

橙「そっか。」

容易に照史の笑顔が想像出来た。

橙「良かった。」

俺が一番大好きやった、
神ちゃんを想う切なくて綺麗な笑顔。

橙「...ほんまに良かった。」

同時に、辛そうに顔を歪めて
泣いてる顔も想像出来た。
それも同じくらい簡単に。

黄「大丈夫やで、俺おるから。照史。」

良かったって言いながらも、
泣いてるのはすぐ分かる。

黄「ごめんな、
今そっち行くわって言いたいとこやけど、
大毅が泣き疲れて寝てるんやわ。」
橙「なーんで謝んねん！恋人第一や。」

いや、初恋も放っておけへんて。

橙「しげ、どしたん？」
黄「神ちゃんや濱田先生と同じように
辛い思いしてたんに、
なんで流星とのんちゃんは
報われへんの？って、大泣き。」
橙「しげらしいなぁ。」

後輩のこと愛おしそうに喋る照史が
俺は愛おしい。

黄「照史のことも気にしてたで。」
橙「ほんま優しいよな。俺は大丈夫やから。」
黄「ほんまに？」
橙「んー...ちょっと嘘かも知らん。」

正直に言うてくれるから、
嬉しいし安心するし愛しいんや。

黄「大毅返したら行くわ。」
橙「ええの？」
黄「当たり前やんけ。」
橙「...ありがと。」
黄「ううん。」
橙「ほな、後でね。」
黄「はーい。」

翌日、照史のステメが変わってた。
『幸せ祈ってます』って、あとお猿の絵文字。
彼なりの決意表明を
ほんまの意味で理解出来る俺らは、
その愛に溢れた綺麗な心を
讃えることしか出来ひんかった。

なんも出来ひんやん、俺。
ほんまごめんな、照史。