桜色の薔薇は永遠に【紫×緑】 (ページ32)

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桃

あーぁ......。

「小瀧さん？大丈夫ですか？」
桃「あ、すいません。
さすがに疲れちゃって。(笑)」
「無理してます？すみません、
最近詰め込み過ぎちゃって...」
桃「いえいえ、大丈夫です。
詰め込める限り詰め込んで下さい！
ほんまに仕事大好きなんで。」

嘘言うてへんぞ。

「じゃ、明日は8時に迎えに来ますので、
また連絡しますね。」
桃「はーい、お疲れ様でした。
今日もありがとうございました。」
「お疲れ様でした。」

あかんな。

玄関に入ったものの、なんも動かんわ。
リュックはほっぽって、携帯と鍵だけポッケ。
入ったばっかの玄関を出た。

雨......さっき降ってたっけ。
小雨やったから気付かんかったのかな。
なんや、酷くなってるやん。
その中傘もささんと歩いてく。
風邪ひかんとええけど、俺。

なんでこんなこと思いついたんやろ。
なんでここに向かったんやろ。
多分、ただ甘えたくて、抱きしめて欲しくて。
それは結構誰でも良かったのかも知らん。
すぐしてくれそうなんがここやったから？
ううん、きっと俺は数いる誰でも良いの中から
ここを選んだんや。半分無意識に。

自宅の鍵と触れ合う合い鍵を
慣れたドアに差して回す。

青「...望？お前、どうしたん？！
めっちゃ濡れてるやん！風邪ひくて！ちょ、」
桃「りゅーせー？」

ほんま、いつもクールなのに俺のことになると
過保護なくらい慌てるんやから。

桃「流星、」

重たい腕を伸ばして、その体に抱きついた。

桃「ぎゅーってして？俺消えてまうから。」
青「えっ、」

急に変なこと言うても
抱きしめてくれんねんな。
多分こんなんしてくれんの流星だけ。
あー、照史とかもかな？でも流星がええ。
流星は、俺のこと特別に想ってくれるから。

桃「もっとぎゅーって。」
青「痛いで？」
桃「ええの。」

要求通り、流星は力の限り抱きしめてくれる。

桃「痛い。」
青「言うたやん。」
桃「やめないで。」

流星はここにおる。
それを認識出来るだけでも俺は安心する。

桃「流星、俺、おる？」
青「おるよ。」
桃「消えてへん？」
青「消えてない。」
桃「あったかい？」
青「冷たい。中入ろ、風邪ひくで。」
桃「うん。」

靴脱いで、リビングのソファーに座るまで、
一時も流星の体を離れずどこかに触れていた。