桜色の薔薇は永遠に【紫×緑】 (ページ15)

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黄

雪が溶けて、殺風景やった景色に
春雪が咲いて、それも散って、
今度は若々しい芽が
あどけなさ満載で葉になって、
その面に貫禄が出てきた頃。

そんな桜の葉を隙間から
俺はグランドを見下ろす。

誰よりも黒い黒髪と
綺麗な金髪のコントラストは見つけやすい。
しげが蹴ったボールが
ゴールネットを大きく揺らす。
満面の笑みのしげを、
神ちゃんがポカっと叩く。
しげが何か言うと神ちゃんは爆笑した。
しげも大きな口から白い歯を見せびらかして、
目元にくしゃっと靨を作る。

橙「桜の季節は終わってもうたで～。」

照史はそこら辺にあった椅子を寄せて、
俺の机に弁当を置いた。

黄「あほ。桜の季節が出会いやろ？
本番は夏や夏。これからやねん。」

言葉要らずって、怖いよな。

黄「俺どんな顔してた？」
橙「恋するイケメン。
優しく微笑むなんかしよって。」
黄「照史やってしょっちゅうしてる。」
橙「自覚ある。」
黄「どうやって自覚すんの？」
橙「ほわほわ～ってあったかくなるやろ？」

そう言って照史は、
胸の真ん中辺りをキュウ、と握った。
なるほど。

橙「で、どれ。」
黄「どれて。あそこ。」

俺は漠然と、グランドの端の方を指す。

橙「モンチはあかんで？！」
黄「分かってるわ。その隣。」
橙「嘘やん、しげ？なんで？」
黄「あいつな？」
橙「うん。」
黄「悪戯するやん。」
橙「せやな。」
黄「で、ほんまにしつこかったから
一回俺キレてん。ええ加減にせえよ、
俺先輩やぞって。そしたら、」

俺、頬緩んでるんかな。
照史は女子会中の女の子かって
言いたくなるような、頬机ついて上目遣い。
可愛いかも知らんけど萌えんし、こいつじゃ。

黄「めっちゃシュンってして、
すんません、みたいな。
悪戯どころか話しかけんくなったし、
敬語になったし。めっちゃ可愛ない？」
橙「あー...可愛いかどうかは
俺は知らんけど。ギャップ萌えですか？」
黄「そんなとこですわ。」
橙「ほぇー。」

汗で張り付いた前髪も気にせんと、
笑顔でグランドを駆け回るあいつが
無邪気で可愛いくてしょうがない。