桜並木の休憩所 (ページ10)

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@休日(Cat and Fox) ページ10

今日は定休日。
ハルと一緒に、近くの公園まで散歩にやってきた。
誰もいないベンチに座って、ハルを抱えてまったり。
「今日もいい天気だね」
「わん」
ハルの顎をもふもふしながら、流れる時間に身を任せる。

ーーーーー

『…………』
……なに……。
『…………！』
……何かが、聞こえる。
『……！』
……あ、まずい。
やめて。それ以上は、

『こんなまずい料理出すな！』
『あんたはほんっとうに何もできないわね！』
『ごめんなさいっ……』
『やだっ！にいちゃんをおこらないで！』
『お前は黙れ！』

ごめんなさい。ごめんなさい。
なにもできないこどもでごめんなさい。
おいしいごはんつくるから、どうか、どうか。
おとうとだけ、は。

ーーーーー

「にゃー」
急に鳴き声が聞こえ、ふと我に返った。
指に違和感を覚えて見てみると、ハルが俺の指を必死に噛んでいる。
……俺、どっか行ってたのかな。
思い出せないけど、あまりいいものではなかった。
頬に冷たいものを感じて慌てて拭う。

「ボスさん、ありがとう」
ハルの鳴き声が聞こえなかったから、きっとボスさんが呼んでくれたんだろう。
公園の塀の上で優雅に尻尾を振っていて……そうだ。
「あの……良かったら、ご一緒してもらえませんか？」
不安げなハルを抱えてベンチの横を空ける。
ボスさんは少し考えるような仕草をした後、俺の隣に飛び降りた。
ふわふわで柔らかそうな毛並みが見える。
綺麗だな……今度ハルもトリミングに連れて行ってあげないと。
ボスさんを眺めているとハルが撫でて！とアピールしてきたので、もふもふしながら再び目を閉じた。

……落ち着くなあ。