* い ち ご み る く *

29。You*side ページ31

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…あ。

アメちゃん、落としちゃった。




私は暫くの間、波に攫われていく飴を見つめていた。


さかもとの腕に包まれたまま顔を上げると、そっとほっぺたを撫でてくる。

それが気持ちよくてじっとしていたら、また唇が合わせられた。


今度はすぐに離すと
私の顔を覗きこむさかもと。



坂「意味わからんやんなぁ？急にごめんな笑」


そう言ってさかもとは笑ったけど。
ちゃんと笑えてないよ。


だからなんでそんな悲しそうな顔するの？

なんかね、さかもとのそんな顔見ると、
胸がきゅぅってなるの。

やっぱりさかもとには笑顔が似合うもん。


笑ってよ、さかもと。




『さかもと…』


咄嗟に身体がうごき、
ぎゅっとさかもとに抱きついた。

___バシャっ

そのままさかもとを力いっぱい押して、二人で海の中に倒れこむ。



坂「…ちょい。何して、」

『はやと』


そう呼ぶと、さかもとの動きがピタリと止まって。
その隙にさかもとの肩を掴んで、
一瞬だけ唇を合わせてみた。


“好き”って意味なんでしょ？

だったら私もしていいよね？



『はやと。好き』


私だってさかもとのこと好きだもん。





坂「…笑」

『えっ何？！』


突然、爆笑しだしたさかもと。


何がおもしろいのか全くわかんないんだけど
さかもとがちゃんと笑ってくれてる。

よかった。



坂「やっぱかわいーわ、お前」

『ふぇ？』


坂「絶対いつか、俺んこと好きやって言わせたるから」


『だから好きって言ってるじゃ、』


まただ。

言い終わる前に唇をぶつけられて
最後まで言えなかった。

さかもとって、ほんと自分勝手。



『…あ、っ…』


今度は入ってくるものが何なのかわかったよ。

わかった瞬間、安心した。



坂「…みるく」

『んぅ…はやと…っ』



さかもとの舌
熱いよ。

前までのやつより、何倍も気持ちよくて。
くらくらして、変になっちゃいそう。

吐息がくすぐったい。



『…ぷは』

坂「息してなかったんかい笑」

『だってさかもとが、』



あーもう。

だから最後まで言わせてってば。


何度も何度も唇を繋ぎ合わせるさかもとに、
呆れ半分、嬉しさ半分。

だって、“好き”って言ってくれてるってことだもんね。


言葉と同じくらい、もしかしたらそれ以上に
その気持ちが伝わってくるような気がする。





『…くるしい。さかもとのバカ』

坂「黙れ、チビみるく笑」





むかつくけど、やっぱ大切な親友だよ。



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