63話 バニラアイス ページ17
しばらくすると悟空さんは鍵のついた箱のような物を持って戻ってきた
猿「悪い。待たせたな」
「いえ、大丈夫ですよ」
その頃には私の息も整っており、また走り始めようかな、と思っていたが
また心を読まれたのか
猿「今日はもう終わっていい」
と悟空さんは静かな声でそう言った
「え?」
予想もしていなかった言葉に耳を疑うと
猿「容赦しねぇと言ったが...悪かった。29番を見た瞬間、今日のメニューをお前がこなせねぇことは分かっていたが...一応あいつらと同様にやらせてみた」
悟空さんはそう言って、ちらっとグラウンドの方を見る。
猿「...お前はもう少しで意識を失うところだった。疲労と酸素不足で、な。」
「そ、そうだったんですか...。確かに、悟空さんが助けてくれなかったらあのまま倒れてた気がします。」
そう言ってへらっと笑うと
猿「いや...助けたというより、元々俺がいけなかったんだ。悪ぃ、俺の不注意で危険な目に合わせて。」
悟空さんは少し俯いてそう言った。
「そんなことないですよ」
そう言った私の目の前にずいっ、とアイスが2本出される
「...え?」
猿「いいから食え。」
「...あ、りがとうございます」
悟空さんに受け取れと言わんばかりの目で見られ、アイスを1本受け取ると
猿「違う。2本ともお前のだ。」
そう言って私の手を掴んで、ほぼ強制的にもう1本のアイスを握らせる
猿「1本はお詫びだ。こんなんしかできねぇで悪ぃな。...それと、もう1本は褒美だ」
悟空さんは、きゅっと口角を上げる
「そんな...私、半分も走れてないですよ?」
申し訳なさを感じてそう言うけど
猿「...初めての鍛錬のうえに、女であのトラックを40周走ったのは...まぁ頑張った方なんじゃねぇか?」
悟空さんはチョコアイスを食べながら褒めてくれた。
...最初は怖いと思ってたけど...ホントは優しい人だな
褒められたことが嬉しくて、自然と笑みがこぼれる
「えへへ...ありがとうございます」
笑顔でお礼を言い、アイスの袋を破る
いただきます、そう心の中で呟いてバニラアイスを頬張った。
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「(あれ?そういえば何周走ったか言ったっけ...?)」
猿「2番と38番は後3周か。69番が72周半で25番が120周...」
「(ぜ、全員の周の数を把握してる...!?)」
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えみ(プロフ) - 社会のゴミさん» そんなもったいないお言葉...!(´;ω;`)本当に嬉しいです!ありがとうございます!! (2019年5月24日 0時) (レス) id: 5fcadd4981 (このIDを非表示/違反報告)
社会のゴミ - とても面白いです!こんな作品作るなんて凄いです! (2019年5月23日 23時) (レス) id: 9dda0ba0f7 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - 彩乃さん» また見てくださりありがとうございます...!(´;ω;`)私もビックリしてます←本当に見てくださる皆さんのおかげです...! 1人でも多くの人を魅了してやろうと思っています( ˙-˙ )逆ハー万歳( ˙-˙ )頑張ります! (2017年12月28日 22時) (レス) id: 5fcadd4981 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - 久しぶりに確認したら、まさかの続編に行っていてびっくりしました。看守までも魅了するとは…夢主ちゃんすごいですね。最新頑張ってくださいね! (2017年12月28日 22時) (レス) id: 9bddba89dd (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - 亜稀さん» 付いてますか!?すみません!教えて下さりありがとうございます!!今すぐ外します!本当にごめんなさい。 (2017年11月19日 17時) (レス) id: 5fcadd4981 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えみ | 作成日時:2017年10月21日 23時