漫画みたいに甘くない！2

61話 5舎に行こう�� ページ15

朝食を食べ終えた後、私達は大和さんの運転する護送車で5舎へ向かった。


...15分で行ける距離を2時間かけて行った理由は言うまでもない。




...
5舎


猿｢5舎8房、主任看守の悟空猿門だ。｣



そう出迎えてくれたのはいたるところに施された装飾が目をひく5舎の主任さん。



ゆらりと動く尻尾みたいなものが可愛い



｢初めまして。29番のAです。｣



そう言ってペコリと頭を下げる。



皆もだるそうに挨拶をすると、さっそく組み込まれた鍛錬のメニューが発表される。




グ...グラウンド200周に腕立て1000回...！？腹筋、背筋も1000回ずつ...それから手合わせ！？




想像をはるかに上回ったメニューに目が眩みそうになっていると





猿｢おい、29番。｣





｢へ...？...あ、はい。｣




突然呼ばれ、間抜けな声で返事をするとギロッと睨まれ、はっ、と我に返って返事をし直す。





猿｢今の返事もそうだが...女だからって容赦しねぇからな。｣




悟空さんはそれだけ言ってグラウンドの方へ向かった。





｢は、はい...頑張ります...｣




聞こえるか聞こえないかくらいの声で答えてから、悟空さんの後を追った。









猿｢始めろ。｣


その声を合図にカチッとストップウォッチが押され、皆が一斉に走り出す。




リャ｢A。あまり無理はするなよ。｣





｢うん、ありがとう｣




隣にいたリャンさんは私にそう言い残して、グン、とスピードをあげて走っていった。









まだ半周もしていないというのに先頭を走るリャンさんとの差はどんどん広がる。




うぅ...もう精神的にキツいよ...




見たところこのトラックは1周200ｍくらいある。それを200周て...。



距離を計算する余裕もなく、ただひたすらに走る。







今のところ私の順位は...リャンさん、ウパさん、ロック、ニコ...5位だ






ウノは後ろでずっとぐずっている。







ウ｢もうヤダー！足痛いー！砂ぼこりヤバいー！帰りたいー！｣






私よりゆっくり走っているとはいえ、あんな大きい声を出せるのはすごいな







そんなことを思いながら、ずっとずっとひたすら走り続けた。

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